握力が高いほど死亡率が低い

 実はこの間、僕もヒヤリとした経験があります。大胸筋をターゲットにダンベルプレス(ベンチプレスをダンベルでおこなう)をしていたとき、調子に乗って重すぎるダンベルを選んでしまい、肩を痛めてしまったのです。そのときは3週間ほど、肩を使うような筋トレができなくなってしまったのです。

「このまま治らなかったらどうしよう」と不安な日々を送っていました。3年後の現在も、やや肩に違和感があり、筋トレの前には入念なストレッチが欠かせません。つい、無謀な重さに挑戦したくなったときは、谷本先生の言葉を思い出すようにしています。

「なお、筋力が高いほど死亡率や脳梗塞、心不全などの罹患率が低いことが、いくつかの疫学研究で報告されています。健康面でも筋肉は大事と言えます」と谷本先生。そのひとつが「握力が高いほど死亡率が低い」という有名な研究です。

 ただし「だから握力を鍛えよう」というわけではないので誤解しないでください。握力と相関する全身の筋力や筋肉量が健康に大きく関わるということです。握力は簡単に大人数のデータをとれますので、研究ではそれを指標に評価しているわけです。