後悔しない 医療・介護#3Photo:PIXTA

心身共に疲弊する認知症介護。せめて金銭面での不安だけは解消しておきたいが、自治体の担当職員やケアマネジャーにも認知度が低く、活用が進んでいない制度がある。特集『後悔しない 医療・介護』の#3では、認知症介護の費用負担軽減策を網羅して、解説する。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)

介護以外の支援制度なのに
認知症ならもらえる手当

 65歳以上で、居住地の自治体から「介護が必要な状態」と認められれば、公的な医療保険とは別に介護保険を使ってサービスを受けられる。

 この介護が必要な状態の程度を表すのが「要介護度」だ。軽い順から、要支援1、要支援2、要介護1、要介護2、要介護3、要介護4、そして最重度の要介護5、この7段階となっており、認知症の疑いが濃い場合、身体機能には問題がなくても、要支援をスキップして要介護1以上と判定される可能性が高い。

 サービスの介護報酬は当然、要介護度が上がるほど高額となり、要支援1なら月額上限5032単位(1単位10円として5万0320円)まで、全面的な介助なしには生活できない最重度の要介護5になると月額上限3万6217単位(同36万2170円)まで利用可能だ。

 介護保険による自己負担割合は1~3割(所得により変動)とはいえ、月額上限までサービスを利用すると、負担額は要介護度が上がるにつれて なかなかの金額となる。医療費では、自己負担が月額上限に達した場合、その上限を超えた金額が戻ってくる「高額療養費制度」がよく知られているが、実は介護にも同様の制度がある。

 また、本来は介護のために用意された制度ではなくても、認知症ならもらえる可能性がある手当も存在する。日頃は頼れる存在である自治体の介護保険担当職員やケアマネジャー(介護支援専門員)であっても、介護保険制度以外について必ずしも詳しいとは限らない。知っているのとそうでないのとでは、年間数十万円損する場合もある。次ページでは、介護費の自己負担軽減策を網羅、徹底解説する。