図1では、先進国株式、新興国株式、先進国債券についても同様のグラフを示しています。これを見ると、新興国株式は国内株式や先進国株式と比べると価格のブレが大きく、相対的にはハイリスク・ハイリターンということがわかるでしょう。

 このグラフからは「リスクとリターンが表裏一体の関係にある」ということも見て取れます。

 資産運用においては、ローリスクの商品を選ぶなら期待できるリターンも低くなりますし、ハイリターンを期待するなら高いリスクを取らなくてはならないと考えるのが原則なのです。

リスクを抑える
「長期投資」はこれだけ有利だ

 さて、これから長くじっくり資産を育てていくとなると、できれば「リスク=価格のブレ」を抑えて、安定的に運用したいところです。そのために重要なのが、「長期投資」と「分散投資」です。

 まず、長期投資の効果について見てみましょう。図2は、投資開始時期によって1年、5年、10年の運用パフォーマンスがどう変化したかを示したものです。

図2_長期投資で「リスク」を下げる図2 長期投資で「リスク」を下げる。同書より 拡大画像表示

 先ほども確認したように、2002年12月から2022年12月までの20年間を対象に、国内株式(TOPIX)の価格のブレを見ると、「最悪の場合は1年間で最大45.4%下落することが考えられ、最善の場合は1年間で最大65.0%上昇する」という結果になったのでしたね。

 そして図2には、同じタイミングで投資して「5年間運用した場合」と「10年間運用した場合」の価格のブレも示しています。

 グラフからわかるように、このタイミングでTOPIXのインデックスファンドに投資したとすると、運用期間5年では「最悪の場合は年率で最大14.7%下落することが考えられ、最善の場合は年率で最大21.4%上昇する」という結果になっています。

 運用期間1年間の場合と比べると、「リスク=価格のブレ」がぐっと小さくなっていることがわかるでしょう。

 さらに運用期間10年では、「最悪の場合は年率で最大0.6%下落することが考えられ、最善の場合は年率で最大13.0%上昇する」という結果になっています。

 これは先進国株式、新興国株式、先進国債券についても同様で、過去のデータからは、「運用期間が長ければ長いほど、リスクが抑えられる」ことが読み取れます。

 また、これらの資産を10年以上保有した場合、高い確率でプラスのリターンを得られそうなこともおわかりいただけるでしょう。