韓国メディア記者とリ監督の
舌戦「第2ラウンド」の理由

 2月28日の大一番でなでしこジャパンに1-2で敗れ、パリ五輪出場を逃した直後に行われた公式記者会見。アウェイチームの監督から先に登壇する慣例に従い、リ監督が終わったばかりの90分間を「ともに全力を尽くした、素晴らしい内容でした」と総括した直後だった。

 質疑応答が始まり、司会者が韓国紙「東亜日報」の男性記者を指名すると、その質問の最中、またしてもリ監督が口をはさんできた。このときは通訳も、指揮官の言葉を日本語に訳している。

「大変申し訳ありませんけれども、私どもの神経を逆なでするような質問をなさる媒体であるという理由で、いまのご質問にお答えすることはできません」

 筆者が会見後、再び通訳に確認したところでは、男性記者は「北韓」という禁句は使わず、敗因と今後への課題を質問しただけだったという。それに対して、指揮官はなぜ回答を拒否したのか。

 その答えは、男性記者が所属する「東亜日報」グループの傘下に、くだんの女性記者が所属する「チャンネルA」があったからだという。両メディアが資本関係にあるというだけで、リ監督は質問そのものを拒否してしまったのだ。代表チームの取材現場では、こうしたケースは非常に珍しい。

 敗戦後に「東亜日報」の記者が質問を繰り出してきたことが「追い打ち」となったのか、リ監督の記者会見は想定外の展開を見せた。もともとは前日に「できるだけ長く話したい」との意向を示していたにもかかわらず、「一刻も早く会見を終えて退席したい」と方針転換したのだ。

 そしてリ監督は、司会を務めていたJFA職員に代わって、最後となる4問目の質問者を自ら指名するという、これまた異例の行動に打って出た。多くの記者が挙手する中、リ監督が選んだのは、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央常任委員会の機関誌「朝鮮新報」の男性記者だった。いわば「同胞」である。

「朝鮮新報」の男性記者は、自身を指名したリ監督に対して、多くの北朝鮮サポーターが祖国の応援に駆け付けたことへの思いを聞いた。