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岸博幸のクリエイティブ国富論

マスメディアの生きる途
~非常に私的な「試論」

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第19回】 2008年12月12日
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 先週は、週刊ダイヤモンドの特集に触発されて、マスメディアは本当に崖っ縁なのかについて持論を書かせていただきました。お気を悪くされた関係者の方もいらっしゃるかと思いますが、ご容赦いただければと思います。今週は、既存のビジネスモデルの下で収益性が悪化しているマスメディアが目指すべき新たなビジネスモデルの方向性について考えたいと思います。

キー局の目指すべき
ビジネスモデル

 これまでマスメディアのコアコンピタンスであった流通の独占性はインターネットの普及により崩壊しました。これからのマスメディアのコアコンピタンスは、制作力(企画と制作の両方を含みます)とブランド力(テレビ局や新聞の名前自体がブランドです)になります。

 それでは、マスメディアは具体的にどのようなビジネスモデルを目指すべきでしょうか。株式公開企業である民放キー局については、株主価値を高めるという観点も重要になりますので、以下のような方向性になると思います。

・ クオリティの高い映像作品を制作できる能力を高める。

・ 作品の性質(ターゲットのユーザ層、芸術性など)に応じ、最適な流通経路の組み合わせで提供できるようにする。

・ 制作力を活かせて収益性のある新しいビジネス(映像委託制作など)を積極的に拡大する。

・ ブランド力を活かせるビジネス(イベントなど)に積極的に参入する。

 ここで留意すべき点が三点あります。第一は、投資家的な観点から言えば、一番のコアコンピタンスとなる制作能力を高めない限り、企業としての期待成長性は高まらず、投資対象としての魅力は薄れるということです(本業を変えるなら別ですが)。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。

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