トランプ氏を支持しない
共和党員は意外に多い

 予備選で圧勝したトランプ氏だが、秋の本選に向けた民主党のバイデン大統領との戦いにはいくつもの不安要素がある。まずは共和党員の中に「本選ではトランプ氏に投票しない」という有権者が予想以上に多いことだ。

 予備選第2戦のニューハンプシャー州(1月23日)では、トランプ氏が得票率54.6%とヘイリー氏に2ケタの差をつけて勝利し、「すばらしい夜だ。ありがとう」と上機嫌で支持者に謝意を述べた。

 ところが、ABCニュースが行った出口調査では、投票した有権者の約半数は「トランプ氏以外に投票したい」と考えていたことがわかった。そして彼らの多くはトランプ氏が党の候補に指名されるのを止めるためにヘイリー氏に投票したという。

 たとえば、2016年と2020年にトランプ氏に投票したという白人男性はABCニュースの取材に「もう一度トランプ氏に投票することはできない。あまりにもむちゃくちゃだから」と話した。

 また、テキサス、カリフォルニア、バージニアなど15州で予備選が行われた3月5日のスーパーチューズデーで、ヘイリー氏に投票したという高齢男性はトランプ氏について「彼は死ぬほど怖い。その物言いといい、過激な行動といい、とてもまともとは思えない」と語った。

 トランプ氏が共和党内で圧倒的な支持を得ているのは確かだが、一方で、「トランプ氏は絶対に嫌だ」という人も少なくない。唯一の対立候補だったヘイリー氏が撤退したことで、こうした人々が秋の本選で誰に投票するのかが非常に重要となる。

 ヘイリー氏は撤退表明の演説でトランプ氏に祝意を伝えたが、「支持する」とは言わずに、「私たちの支持者たちからのメッセージを受けとめてほしい」と求めた。

 ABCニュースの調査では、ヘイリー氏の支持者の79%が「トランプ氏が共和党の指名候補になることに不満足」と回答したが、そのことを踏まえた上での彼女の発言だったと思われる。

 その上でヘイリー氏は、「トランプ氏が党内外で自分を支持しなかった人たちの票を獲得できるかどうかは彼次第です。獲得することを願っています。最良の政治は人々を遠ざけるのではなく、自らの大義に引き入れること。彼にとって選択の時です」と述べた。

 トランプ氏は予備選で圧勝したことを受けて、「共和党はかつてないほど結束している」と自信たっぷりに述べたが、現実はそれとは程遠い状況になっている。