わが子に最強の中高一貫校&塾&小学校 2025年入試対応#1Photo:PIXTA

高止まりする首都圏の中学受験熱。直近2024 年入試も受験率は過去最高を続伸。さらに東京都が24 年度からの高校授業料の完全無償化を打ち出した余波で、より一層の中学受験の過熱も指摘される。特集『わが子に最強の中高一貫校&塾&小学校』の♯1では、24 年入試で耳目を集めた「筑駒ショック」の原因のほか、表に出ることがない主要難関校の繰り上げ合格者数リストを公開する。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

中堅校人気で中学受験率が過去最高を更新!
難関校では「筑駒ショック」が発生

 2023年入試で受験者数、受験率共に過去最高だった首都圏の中学入試。日能研の推計では、直近24年入試の受験者数は6万5600人と、昨年から減ったものの過去2番目。そして、15年から右肩上がりの受験率は22.7%で、こちらは過去最高となった。

 注目は総応募者数だ。35万0734人で昨年から1万人以上増加した結果、平均併願校数は昨年の5.1校から5.3校へ上昇した。日能研の井上修入試情報室室長は、総応募者数の増加について「1月に行われる埼玉県の入試での受験者増が大きな要因で、主に東京からの越境による『腕試し受験』がデフォルト化。加えて、2月1日の午後入試も定着し、同日午前の入試を受けた受験生の7割弱が午後に別の学校を受けている。首都圏の中学受験の成熟化が進んでいる証しといえる」と語る。

 この首都圏の24年入試の特徴は、難関校回避と中堅校人気だ。

 森上教育研究所の森上展安代表は、「御三家など難関校で特に男子の安全志向が強まり、麻布や武蔵、海城などが受験者を減らした。昨年はコロナ禍が下火に向かうことで難関校回帰が起きたが、その反動とみている。ただし、易化したというよりチャレンジ受験の学力層が減っている」と話す。

 また、首都圏模試センターの北一成教育研究所長は、「中堅~中堅下位校の大半で受験者が増えた。6年生になって受験準備を始めたような駆け込み受験も増えている」と指摘。加えて、「昨年から男女別学の人気が復活したが、24年入試ではそれがより鮮明になり、また近年の『大学付属校バブル』の収束も特徴」とみる。

 安全志向と中堅校人気に加え、SAPIXの広野雅明教育事業本部本部長は、入試制度の変化に着目する。「東京私立中学高等学校協会が24年入試から『帰国生入試』の受験資格を厳格化し、24年度は11月10日、25年度以降は11月20日が帰国生入試の解禁日となった。また国内インターナショナルスクールの在籍生は都内の私立中学校の帰国生入試を受験することができなくなった」。

 また、24年入試の注目校として駒場東邦と早稲田の2校を挙げるのは、アップ執行役員で進学館ルータス統括の吉田努氏だ。「駒東は東京大学と京都大学への合格者数を着実に伸ばしている数少ない学校として、また早稲田は早稲田大学への推薦枠に加え、難関国立大学への進学実績も良いことから、それぞれ受験生を増やしている」。

 加えて、24年入試では、これまでにない事態も発生した。男子の最難関中の最難関、筑波大学附属駒場を震源に起きた「筑駒ショック」だ。

 次ページでは、筑駒ショックの背景と「筑駒蹴り」した受験生の進学先を分析する。そして、この筑駒ショックによって起きた、難関校での繰り上げ合格の波乱と「玉突き」を見るべく、筑駒や男女御三家など難関主要校の「繰り上げ合格者数リスト」を公開する。繰り上げ合格者数は各校とも基本的に非公開のため必見だ。人気校の青山学院を震源に起きる「プチ・サンデーショック」など25年入試の動向も掲載しており、ぜひ参考にしてほしい。