ホストのために詐欺が
歌舞伎町の正義

 第2回公判は同12月6日に開かれ、検察側が渡辺被告が遅くとも18年ごろからホストクラブで豪遊するようになり、ホストに1回につき数百万~数千万円を注ぎ込んだと指摘。いずれもマッチングアプリで知り合った中高年男性からだまし取った金を使っていたと説明した。

 さらに渡辺被告の「(お気に入りの)ホストをナンバーワンにすることに生きる意味や価値があった」などとする供述調書を読み上げた。この東京・歌舞伎町の店のホストは詐欺で得た金と知りながら受領したとして、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益収受)容疑で逮捕、起訴されている。

 今年3月15日には論告求刑公判が開かれ、検察側がホストを売り上げナンバーワンにするため詐欺に及んだと述べた上で「動機は短絡的で身勝手。(被害)男性の心情につけ込んだ卑劣な犯行でマニュアルを作成するなど十分な計画性も認められ、同種の犯罪を助長した」と厳しく指弾した。

 渡辺被告は被告人質問に対し「悪いことをしている感覚はあった。ホストのために詐欺をするのが歌舞伎町の正義だと思っていた」「人の気持ちを踏みにじった。(マニュアルを購入した)女の子も洗脳して申し訳ない」と後悔の言葉を並べた。そして「お金は少しずつでも返したい」と述べたあと、突然泣き出し、公判が中断されるシーンもあった。

 弁護側は最終弁論で父親から受けた暴行・虐待を受けていた生い立ちを紹介し、孤独感からホストクラブ通いにのめり込むようになったと強調。その上で「被告はホストに利用されたにすぎない」「社会的制裁は十分に受けている」として寛大な処分を求めた。