出所は40歳近く
3億円の納税義務も

 それでは、渡辺被告の量刑はどれぐらいになるのだろうか。

 筆者の後輩である全国紙社会部デスクによると、渡辺被告が愛知県警に逮捕された際はカプセルホテルに滞在しており、所持品も壊れたスマホやホストの名刺など。だまし取った金は手元に残っておらず、所持金も数千円だったという。

 情状として弁護側の主張は一定程度、考慮される可能性はある。しかし詐欺罪の場合、罪が軽減されたり執行猶予がついたりするのは弁済などによって示談が成立しているなど、被害が解消されているケースだ。

 一般的に司法関係者の間では「判決は求刑の7~8割掛け」と言われる。情状部分を差し引いても、懲役10年前後の可能性は濃厚だ。

 さらに渡辺被告は詐欺・詐欺幇助罪とは別に、詐取した約1億1000万円を所得として申告せず21年~22年分の所得税約4000万円を脱税したとして、所得税法違反罪にも問われている。あまり知られていないが、こうした犯罪収益も「雑所得」に該当し、確定申告と納税が必要だ。

 脱税事件も執行猶予の判決が多く見られるが、この場合も修正申告と納税によって情状酌量が認められたケースがほとんど。しかし渡辺被告には修正申告して納税する手持ちはなさそうだ。

 詐欺と詐欺幇助罪での量刑が懲役10年前後だったとしても、罰金1200万円は減額されないだろうし、脱税での実刑が加算されれば懲役12~13年は確実で、脱税した約4000万円プラス重加算税というペナルティー(年率35~40%。延滞税も含めると約50%になるケースも)が課される。出所した40歳近くには、3億円近い納税義務が残っている可能性がある。

 軽い気持ちで始めたであろう「頂き」生活の本当の意味での罰は10年超の懲役ではなく、出所後の余生かも知れない。