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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

景気の変動にかかわりなく計画し発展していくために
押さえておくべきこととは

上田惇生
【第326回】 2013年4月10日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
1890円(税込)

 「いかなる事業も、より大きな経済的状況の一部として存在する。したがって、いかなる事業計画も、経済情勢を無視することはできない。しかし、マネジメントが必要とするものは、通常の意味における景気予測ではない。それは、景気循環への依存から自らの思考と計画を切り離してくれる手法である」(ドラッカー名著集(2)『現代の経営』[上])

 景気循環から目を離してはならない。しかし、景気循環に焦点を合わせている限り、なにもできなくなる。そもそも今、景気循環のどこにいるのかさえ、いかなる経済学者にもわからない。景気循環についてなにかがわかるのは、循環の波が通り過ぎた後である。

 したがって問題は、経済情勢がいかなる段階にあるかにかかわりなく、事業上の決定を行なうために押さえておくべきことは何かである。

 押さえておくべきこと、行なうべきことは四つある。

 第一は、過去の経験から最悪の状況を想定しておくことである。これさえ行なっておけば、派遣切りのような切羽詰まった状況に追い込まれる危険も避けられるはずである。これは、最悪の事態を最小にとどめるという意味において、ミニマックス分析と呼ぶことができる。

 第二は、すでに起こった変化がやがて経済に及ぼすであろう影響を想定しておくことである。中国が経済発展の意味を理解したということは、すでに起こったことである。必ずその影響は表れる。これをドラッカーは、底流分析と呼んでいる。

 第三は、あらゆる経済現象が一貫した傾向の下に動くことから、その趨勢を把握しておくことである。これを趨勢分析と呼ぶ。

 しかし、これら三つの分析を組み合わせても、得られる知識は推測にすぎない。したがって、第四に、あらゆる決定において、適応と変更のための道を用意しておくことである。

 すなわち、明日の決定と行動のために、明日の経営管理者を今日育成しておくことである。

 「今日のマネジメントは、明日の経営管理者を育成しておかなければならない。今日の決定を明日の情勢に適応させ、理性的な推測を現実の成果に結びつけることのできるのは、明日の経営管理者である」(『現代の経営』)

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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