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「これからの世界」で働く君たちへ
【第7回】 2013年5月9日
著者・コラム紹介バックナンバー
山元賢治

伝説の元アップル・ジャパン社長が教える
「これからの世界」での働き方 6
“一秒で瞬断する。判断するには「世界の情報」を頭に入れる”

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iPodからiPhoneまで、アップル復活の舞台裏を知る「唯一の日本人経営者」が、アップル退社後に初めて語る「これからの世界」での働き方。マネジャーに最も大切なことは「瞬断」すること。では、決断できない日本人が世界で戦うためには、どのように考えればいいのか?

一秒で瞬断する。判断するには「世界の情報」を頭に入れる

 「Make a decision in a second」

 この言葉は私がIBM時代に尊敬している方から贈られたもので、20年以上に及ぶ私のマネジャー人生の中でも根幹となる指針となっています。マネジャーやリーダーだけでなく、これから世界を相手に働こうというみなさんにもぜひ贈りたい言葉です。

 自分で自分の人生を積極的にマネジメントしようという人にとって、「決断力」に勝るスキルはありません。スピーディーに決断ができるかどうかは、個人や組織にかかわらず、あらゆる成果や業績を左右します。

 IBMで技術者だったころ、私はマネジャーへの昇進を拒んでいました。当時、私は技術者としての自分の成長に賭けていたので、マネジャーになることの良さが見出せずに悩んでいました。

 そんな折、ニューヨークから来日していたアメリカ本社のマネジャーと京都で食事をするチャンスがありました。私は、マネジャーになると仕事の内容や責任範囲の何が変わるのかと質問をしました。するとマネジャーはこう答えたのです。

 「たった一つだけだ。make decision だけだ。マネジャーが意思決定できないと、後ろで待っているすべての部下が待ち状態になる。会社として大損失だ。そのくらい決断するというのは重要な仕事なのだ。IBMはそれができる本当に優秀な人材だけをマネジャーに育て上げ、教育し、会社全体の生産性の向上を図っている」

 マネジャーとしての仕事に大切なことはたくさんありますが、会社の業績に直結する本当に重要なこととは、一言でいえば「make decision」なのです。ただ、これは別にマネジャーに限った話ではなく、これからの世界で働くすべての人に等しく当てはまることです。

 例えば、部のミーティングで提案する企画案を練る、ミーティングの議題にのった案件の採決をとる、企画を実行するときに効果的に動く、お客様を回る順番を決める。どんな場面でも本来は「make decision」が必要なのです。もちろん、決断はリスクと隣り合わせですので、そこには大きな責任がともないます。

 日本の大企業では、組織があまりにも大きいためか、まだまだ終身雇用に近い人事制度のためか、自分の職の確保に走ってしまうからか、自ら判断し、その責任をとろうという人は少ないと思います。

 一つのことを決めるにも、まるでスタンプラリーのように何十人もの人に稟議書に判を押してもらわなければならないという制度は、それは人が増えれば責任の所在を分散して、結局誰も責任を負わないという仕組みでもあるのです。

 こうした事態は、ますますグローバル化する近年、アジアでビジネスを展開する際にも明確な問題となってきています。日本の品質や思いやりのあるサービスを選択したいのだけれども、あまりにも決断が遅いので、中国や韓国の企業と付き合うしかないというケースも多いそうです。

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山元賢治

1959年生まれ。神戸大学卒業後、日本IBMに入社。日本オラクル、ケイデンスを経て、EMCジャパン副社長。2002年、日本オラクルへ復帰。専務として営業・マーケティング・開発にわたる総勢1600人の責任者となり、BtoBの世界の巨人、ラリー・エリソンと仕事をする。2004年にスティーブ・ジョブズと出会い、アップル・ジャパンの代表取締役社長に就任。iPodビジネスの立ち上げからiPhoneを市場に送り出すまで関わり、アップルの復活に貢献。
現在(株)コミュニカ代表取締役、(株)ヴェロチタの取締役会長を兼任。また、(株)Plan・Do・See、(株)エスキュービズム、(株)リザーブリンク、(株)Gengo、(株)F.A.N、(株)マジックハット、グローバル・ブレイン(株)の顧問を務める。その他、私塾「山元塾」を開き、21世紀の坂本龍馬を生み出すべく、多くの若者へのアドバイスと講演活動を行っている。
著書に『ハイタッチ』『外資で結果を出せる人 出せない人』(共に日本経済新聞出版社)、共著に『世界でたたかう英語』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。

 


「これからの世界」で働く君たちへ

ジョブズ、ティム・クック、ラリー・エリソン、マイケル・ラトガースら、ビジネス界の巨人とわたり合い、アップル復活の舞台裏を知る「唯一の日本人経営者」が教える、21世紀を生き抜く40の指針。この連載では、書籍に掲載した40の講義から10個を再編集してご紹介します。

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