世界称賛企業の顔ぶれにみる
新しい時代の到来

 ヘイグループとフォーチュンが共同で調査した「世界称賛企業」ランキングを見ていると、時代の大きな転換期に差しかかっていることが分かる。

世界賞賛企業ランキング2013(3)<br />自然科学から人文科学へ<br />人間の内面を知る企業が勝ち上がる時代<br />―― ヘイグループ社長 高野研一たかの・けんいち
1987年3月 神戸大学経済学部卒業、91年6月 ロンドン・スクールズ・オブ・エコノミクス(MSc)修了、1992年6月 シカゴ大学ビジネススクール(MBA)修了。日本債券信用銀行、マーサー・ジャパン、矢矧コンサルティングを経て、2006年10月にヘイ コンサルティング グループへディレクターとして参画。2007年10月に同社代表取締役社長に就任。『ビジネスリーダーの強化書』(日本経団連出版)、『勝ちグセで企業は強くなる』『グループ経営時代の人材マネジメント』(ともに東洋経済新報社)など著書多数。

 2013年の調査では、前年に続いて、アップル、グーグル、アマゾンがトップ3を独占した。その一方で、GE、P&G、J&J、3Mなど、かつて「世界称賛企業」のトップ10の常連だった企業が10位以下に沈んでいる(表)。

 この上位3社は、いずれもインターネットを核とした情報革命の波に乗っている企業だ。18世紀後半から19世紀にかけて英国で起こった産業革命のビッグ・ウエイブが終わりに近づくとともに、情報革命という新しいビッグ・ウエイブが社会的変革を引き起こし始めたことを象徴しているといえよう。

 産業革命はエンジンという新しい動力源を創出し、鉄道・自動車・航空機などの輸送手段、産業機械やプラントなどの生産手段を多数生み出した。これによって大量生産・大量輸送が可能になり、農村に分散して生活していた人々は都市部に集まり、マスプロ製品を生産・消費しながら生活するように社会自体が大きく変わっていった。そこから、大規模な生産設備を持つ大企業が生まれ、経済の中心を占めるようになっていった。