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野口悠紀雄「日銀が引き金を引く日本崩壊」

古い産業を保護して成長はありえない
――成長戦略を評価する視点

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第3回】 2013年5月9日
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 政府は、経済政策の「3本の矢」の最後である成長戦略を6月中旬に閣議決定する予定だ。以下では、「成長戦略で何が必要か?どのように評価するか?」という問題を考えよう。

成長戦略こそが本命

 安倍晋三内閣の経済政策の第1本目の矢である金融政策には、本連載の第2回で述べた問題がある。第2の矢である財政拡大は、続けて行なえば金利高騰の問題を引き起こす。だから、第3の矢である成長戦略こそが重要だ。

 もともと、金融政策と財政政策は一時的なものと位置付けられている。経済再生を実現し、持続的な経済成長を実現するには、成長戦略が本来の政策だ。安倍内閣の経済政策が本当に内容のあるものか、それとも見かけ倒しのこけおどしのものかという判断は、成長戦略によってなされることになる。

 成長戦略は、歴代の政権が作成してきた。民主党政権だけに限っても、「新成長戦略」(2010年6月)、「日本再生の基本戦略」(2011年12月)、「日本再生戦略」(2012年7月)が作成された。

 安倍内閣の成長戦略について、甘利明経済財政・再生相は、「少子高齢化、公共インフラの老朽化、エネルギー・環境制約など世界に先駆けた課題に取り組み、成果を企業が海外に展開して収益を得る」ことが目的であると述べている。

 現時点で報道されているところによれば、成長戦略の主要な内容は、医療などの新産業を育成し、女性が力を発揮できる環境を整備し、また、都市圏を中心に規制緩和や税制優遇を行なう「国家戦略特区」を設定することなどだ。具体的には、つぎのとおりだ。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄「日銀が引き金を引く日本崩壊」

日本銀行が新しい金融政策を決定した。今後2年間でマネタリーベースを2倍に増加させ、消費者物価指数上昇率を2%にするとしている。これを受けて、「円安が進行して輸出が増大する。輸出関連企業の利益が増大し、株価が上がる。日本経済は長く続いた停滞から脱却しようとしている」と考えている人が多い。果たして、この期待は、実現されるだろうか?

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