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「超」入門 学問のすすめ――明治維新と現代日本に共通する23のサバイバル戦略
【第14回】 2013年5月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
鈴木博毅

福沢諭吉が教える
チャンスをつかむ「越境のすすめ」

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現代と同じグローバル化を迎えていた幕末。遣米使節団としてアメリカに渡った福沢諭吉は、このクロスボーダーの体験をもとに大きく飛躍することとなる。しかし、渡米は偶然ではなく、諭吉の行動の結果であった。連載第14回は、グローバル化が叫ばれる今、チャンスをつかむために必要な要素について考える。

咸臨丸に乗った時点で
プラチナチケットを掴んでいた

 1860年、日本で初めて遣米使節団が結成され、咸臨丸という船に乗って太平洋横断の旅をすることになります。ところが、福沢諭吉は数年前に大阪の適塾から江戸に出てきたばかり。江戸幕府の壮大な事業に口利きをしてくれるつてなど、あるはずがありません。

 艦長をすることになっていた木村摂津守に直接の知人はいないので、江戸で教えを受けていた蘭学医の桂川甫周に頼んで、木村摂津守に紹介状を書いてもらいます。

 もらった紹介状を手に摂津守を尋ねると、即刻「よろしい。連れて行ってやろう」との回答を得ることができたのです。

 諭吉の自伝には、のちの回想で、当時太平洋横断など、命がけの冒険だと思われていたので、摂津守の家来中でも行きたくない者はたくさんいたと思われる。その挑戦的な事業に自分から行きたいと願い出るなど、おかしな奴だが「これ幸い」と思われたのでは、と書いています。

 しかし、幕府の重要事業だから摂津守が従者をたくさん連れて行くだろうことを洞察し、自らつてを使って紹介状をもらう。この行動力が彼の人生を変える扉を開きます。

 咸臨丸でアメリカに向かったのは97人。37日間の航海でしたが、この咸臨丸に乗船したことで、日本初の遣米使節団だけが体験できた極めて貴重な時間を諭吉は過ごすことになります。自分のアタマを使い、行動力を発揮した諭吉ならではの逸話です。

 当時、日本の人口は約3000万人。その中でたった97名しかできない体験を手に入れた行動力。大ヒット書籍、『西洋事情』を諭吉が書き上げる数年前の話です。

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    鈴木博毅 

    1972年生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒。ビジネス戦略、組織論、マーケティングコンサルタント。MPS Consulting代表。貿易商社にてカナダ・豪州の資源輸入業務に従事。その後国内コンサルティング会社に勤務し、2001年に独立。戦略書や戦争史、企業史を分析し、ビジネスに活用できる新たなイノベーションのヒントを探ることをライフワークとしている。顧問先には顧客満足度ランキングでなみいる大企業を抑えて1位を獲得した企業や、特定業界で国内シェアNo.1の企業など成功事例多数。日本的組織論の名著『失敗の本質』をわかりやすく現代ビジネスマン向けにエッセンス化した『「超」入門 失敗の本質』(ダイヤモンド社)は14万部を超えるベストセラーとなる。その他の著作に、『企業変革入門』『シャアに学ぶ逆境に克つ仕事術』(日本実業出版社)、『戦略の教室』(ダイヤモンド社)、『「空気」を変えて思いどおりに人を動かす方法』(マガジンハウス)、『実践版 孫子の兵法』(プレジデント社)、『この方法で生きのびよ』(経済界)、『君主論』(KADOKAWA)などがある。

     


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