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野口悠紀雄「日銀が引き金を引く日本崩壊」

1ドル100円で正当化できる日経平均は、
1万3000円程度

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第6回】 2013年5月30日
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 株価が大きく変動している。以下では、本連載の第4回「円安は企業利益をどう変化させるか――シミュレーションモデルによる分析」に示したモデルを用いて、現実の株価の評価を試みることとしよう。

為替レートが10%減価すると、
利益は20%増加する

第4回に示したモデルは、輸出、国内販売、海外生産ごとに、円安が利益にどのような影響を与えるかを分析するものであった(注1)

 このモデルを用いて、為替レートが10%減価した場合の利益の変化を計算すると、結果は図表1に示すとおりである。海外生産の利益は10%増加するだけだが、輸出による利益は2倍以上に増える。国内生産の利益は、輸入原材料の値上がりのために5%ほど減少する。これらを合わせると、利益の総額は、20.3%ほど増える。

 さまざまの為替レート減価率に対応する利益増加率を図示すると、図表2のようになる。この図からわかるように、両者は比例関係にある。こうなるのは、為替減価率がeの場合の利益率が、第4回で示した式から、e[1-f+fq+(-f+fq)b+qc]/q(1+b+c)となるからだ。比例係数は、2.03である。

(注1)第4回のパラメータにつき、一部修正しておきたい。第4回で述べたように、2012年における総輸入70.7兆円の41.7%に当たる29.5兆円が原材料と考えられる。そして、このうち、上場企業使用分は11.3兆円と推計される。第4回は、この売上高に対する比率2.2%をもってfの値としたが、正しくは、原価(売上高512兆円から、営業利益22.8兆円を控除した489兆円)に対する比率2.3%を用いるべきだった(ただし、結果に大きな差は生じない)。以下では、f=0.023として計算する。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄「日銀が引き金を引く日本崩壊」

日本銀行が新しい金融政策を決定した。今後2年間でマネタリーベースを2倍に増加させ、消費者物価指数上昇率を2%にするとしている。これを受けて、「円安が進行して輸出が増大する。輸出関連企業の利益が増大し、株価が上がる。日本経済は長く続いた停滞から脱却しようとしている」と考えている人が多い。果たして、この期待は、実現されるだろうか?

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