丸の内エリアのオフィスビルのおよそ3割を所有する“大地主”三菱地所が海外企業の誘致を拡大している。
昨秋には専門部署「東京ビジネス開発支援室」を設置。日本にまだ進出していない海外企業や、世界展開を目指す国内のベンチャー企業、そして彼らを支援するためのベンチャーキャピタルやコンサルティング企業などを丸の内エリアに誘致する。
富士ビルの「丸の内インド・エコノミック・ゾーン」や、新丸の内ビルの「日本創生ビレッジ」といったオフィスを提供するほか、メンバー制のビジネスクラブ「東京21cクラブ」を組織し、メンバー間のマッチングやセミナー開催などによるネットワークづくり支援など、デベロッパーの枠を超えたサービスを提供している。
5月には、新丸ビルに入居するベンチャーキャピタルファンドに出資も決めた。
三菱地所が海外企業の誘致に力を入れる背景には、東京のオフィス需要への危機感がある。
2008年のリーマンショック前、東京の不動産市場はミニバブル状態で大手町、丸の内エリアの空室率はほぼゼロという盛況ぶりだった。
「賃料はオーナーの言い値だった」(業界関係者)ものだが、ミニバブル崩壊で状況は一転。需要を牽引していた外資系金融機関が大幅に所帯を縮小したり、アジアの他の都市に移転するなどして以降、オフィスビル市況はなかなか盛り上がらないままだ。