第三の移民の波を迎えるドイツ
東欧・南欧からの流入が急増

 ドイツは経済のみならず移民受け入れの面でも、欧州において強さを示している。ドイツは欧州の移民受け入れ大国であり、約8200万人の人口の5分の1は移民の背景を持つとされている。

 2011年の在住外国人は約730万人で、全人口の約9%を占め(日本は1.63%)、うちトルコ人が約161万人(23.3%)、イタリア人が約52万人(7.5%)、ポーランド人が約47万人(6.8%)、ギリシャ人が約28万人(4.1%)と続く。また、ドイツからの移民の流出も多いが、2010年の欧州金融危機以降はネットでの流入がプラスとなっている。

 ドイツの移民流入の第一の波は、第二次世界大戦後の経済復興期に労働力確保のため、西ドイツがイタリアやトルコなどと二国間協定を結んで外国人労働力を大量に受け入れたことに始まる。この結果、1950年には約50万人であった外国人定住者数は、1970年には約300万人に増加する。

 1973年の石油危機で、政府は国内の雇用確保の観点から労働者の国外募集を禁止し、帰国促進政策をとったが、すでに流入していた外国人労働者は長期滞在し、家族を呼び寄せるなど、外国人の数はトルコ人を中心に80年代から再び増加する。

 第二の波は、冷戦末期から1990年代初頭にかけて、東欧および旧ソ連の政治的変化を背景とした庇護申請者の大量流入や、バルカン情勢の悪化に伴う旧ユーゴ地域からの難民の大量流入である。

 また、同時期に、「アウスジードラ―」と呼ばれる19世紀ごろからロシア・東欧に定住したドイツ人子孫のドイツへの帰還民の入国も増加した。

 この背景には、ドイツはナチスによる政治的迫害への反省から、政治的迫害を受けている者に対する庇護請求権が容認されていることがある。