
「農業、建設業、物流業での就労拡大」――石破政権が掲げた就職氷河期世代への支援策が、SNSを中心に「斡旋では?」「今さら何を」と猛批判を浴びています。就職氷河期問題とは何だったのか。なぜ今また注目されているのか。そして、あまり語られてこなかった政府の支援政策とその“意外な成果”とは?数字と事実に基づいて、この問題の実像を明らかにします。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博)
数字で確認する
氷河期世代の現在地
石破首相が就職氷河期世代について「農業、建設業、物流業の分野での就労拡大」を求めたというニュースが波紋を呼んでいます。4月25日に開催された就職氷河期世代の支援に向けた関係閣僚会議の初会合での話です。
SNSのX上でも今回のニュースを受けて、
「それ支援じゃなくて、場当たり的に人出不足業界への斡旋やん」
「あのさあ、就職氷河期世代って今何歳だか把握してんの?」
といった反応がタイムラインを飛び交っています。
一方で新卒社員の初任給が上昇しています。大企業の初任給は30万円台が相場ですが、いよいよ初任給40万円時代が到来するという予測もあります。その原資にまわすために中高年社員の昇給が抑えられるという話がありますが、今、中高年社員になっている世代も就職氷河期世代です。
「時代が悪かった」「時代が違う」ということではありますが、それにしても就職氷河期の再就職先は石破総理が言うような農業、建設業、物流業しかないのでしょうか…記事にまとめてみたいと思います。
まず就職氷河期世代について簡単に説明します。バブルが崩壊した1993年から2004年に就職活動を行った世代のことを氷河期世代と呼びます。この時期の就活エピソードを聞くとかなり悲惨な体験をされた方が多いようです。具体的に数字で状況を説明させていただきます。