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大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~

津波生存者の証言がないまま中間報告へ
大川小遺族に募る検証委員会への不安とモヤモヤ感

加藤順子 [フォトジャーナリスト、気象予報士]
【第23回】 2013年7月5日
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東日本大震災の大津波で児童74人と教職員10人の死者・行方不明者を出した宮城県石巻市立大川小学校。今年2月にスタートした事故検証委員会の第3回会合が今月7日に開かれ、中間報告が発表される予定となっている。3月の2回目の検証委会合後の説明会以来(第22回参照)、3ヵ月半ものあいだ進捗の見えない状況におかれた遺族たちのモヤモヤした思いは、募るばかりだ。

3月末、委員の解任を求める声が上がった

第2回検証委会合を傍聴した遺族の多くが、委員たちのやりとりに不安を覚えたという(2013年3月21日、宮城県石巻合同庁舎)
Photo by Yoriko Kato

 「検証途中ですが、数名の委員さんの解任をお願いします。浮いた費用は捜索費用に充ててください。その方が合理的かと思います」

 3月31日の遺族向けの説明会で、検証を求めてきた遺族のひとりが、検証委に対する不信感を文科省や県教委に訴えた。3月21日の第2回の検証委会合から10日後のことだ。

前回も触れたとおり、過去2回の会合は、委員同士の会話のなかに、事故の概要等基本的な情報をふまえていないやりとりがみられた。取材を続けてきた私たちが聞いていても、いったい何が話し合われ、何を決めたのか要点がつかめない会議だった。

 その会合の説明会で、父親は委員の解任を求めた後にこう続けた。

 「数名の委員さんの態度ですが、子どもたちが亡くなった原因究明の場にもかかわらず、笑いながら話していました。何がそんなに楽しいのでしょうか? 不謹慎極まりないとしか言いようがなく、愕然としました」

 「2回目の検証委員会にもかかわらず資料の読み込み不足が露呈しています。もっと資料を読み込んでから委員会に臨んでもらいたいです」

 「聞き取り調査書を読み込めば複数証言により事実とは違うと簡単に分かる事(筆者注:当日、地域住民が校庭に集まっていたという話など)を話したり、時間のないなかで、そのような不毛な話はやめてもらいたいと思います」

 「議論は原則公開といいながら、議論らしき議論がないまま中間報告するのはなぜか?」

 会合を傍聴した遺族たちのショックは小さくなかった。複数の遺族によればこの意見は、ひとりだけのものではなく、一部の遺族たちの共通した思いだという。

 解任してほしい委員の具体的な名前の明言こそ避けていたが、専門家に対する当初のかすかな期待感が、会合での相次ぐ不真面目ともとれる発言や態度を受けて、はっきりと失望に変わったようだ。

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加藤順子 [フォトジャーナリスト、気象予報士]

気象キャスターや番組ディレクターを経て、取材者に。防災、気象、対話、科学コミュニケーションをテーマに様々な形で活動中。「気象サイエンスカフェ」オーガナイザー。最新著書は、ジャーナリストの池上正樹氏との共著『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)。『ふたたび、ここから―東日本大震災・石巻の人たちの50日間』(ポプラ社)でも写真を担当し、執筆協力も行っている。他に、共著で『気象予報士になる!?』(秀和システム)。最新刊は『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(ポプラ社)。
ブログ:http://katoyori.blogspot.jp/


大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~

東日本大震災の大津波で全校児童108人のうち74人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校。この世界でも例を見ない「惨事」について、震災から1年経った今、これまで伏せられてきた“真実”がついに解き明かされようとしている。この連載では、大川小学校の“真実”を明らかにするとともに、子どもの命を守るためにあるべき安心・安全な学校の管理体制を考える。

「大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~」

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