キーワードは「ポジティブ・ディスコンテント」

 人間の寿命には「長命」と「長寿」があるんです。長命というのは、たとえば頭は機能停止で寝たきり状態になったとしても心臓は動いている状態。これに対して長寿は、心も体も健康な状態のこと。せっかく長く生きても、長命では人生を謳歌できない。だから大事なのは長命ではなく長寿です。平均寿命は長いですが、多くの人が長命になっているような気がします。医療が長寿促進産業になるといいですね。

山本 いわゆる健康寿命を伸ばしたいという思いがあります。

 自分が年齢を重ねてきて今思うのは、高齢者にとって大事なのは、「きょうよう」と「きょういく」と「ちょきん」なんです。「教養」と「教育」と「貯金」ではなくて、私が言っているのは「今日用」と「今日行く」と「貯筋」です。

 つまり「今日、用事がある」「今日、行くところがある」「筋肉をつける」です。私の周囲を見わたしてみても、65歳以上でこの3つを持っている人は全体の3%程度じゃないですかね。ちなみに私は、毎日300回の腕立て伏せと、200回のスクワットを自分に課しています。

プロフェッショナル同士が手を組めば<br />医療・ヘルスケア業界だけでなく<br />経済界も変わると信じて「病気を治す医療」から「病気にさせない医療」へ。決して簡単な目標ではないが、だからこそ取り組む価値がある。

山本 すばらしいですね! 私も治す治療から病気にさせないことにウエイトを置く医療・ヘルスケア業界への改革をめざして頑張ります。

 ジョンソン・エンド・ジョンソンのように経済に影響力を持つことができるような医療・ヘルスケア業界の会社が日本にも現れて大きく成長するかどうかが、日本経済を活性化させるうえでも今後の課題となるでしょう。

 私が取り組んでいることはとてもハードルが高いことかもしれませんが、投資型医療という考え方を受け入れてもらえるためには何でもしますし、そのために自分がどれだけコミットしているかということを見せつづけなければと思っています。

 これからも頑張りましょう。ポジティブ・ディスコンテント(積極的な不満)でね。

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 ポジティブ・ディスコンテント――。世代も業界も違うお2人ですが、使命感を燃やす核となるのは積極的な不満でした。この不満が社会を変えていくのだと確信できる、強いエネルギーを感じる対談となりました。

 次回は、7月29日に更新を予定しています。


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