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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

「おたまはん」醤油で卵かけご飯が全国的ブームに!
異色の3セク“吉田ふるさと村”を率いるチエものたち

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第73回】 2013年7月16日
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衰退する一方の地方を再生するには
独創力と調整力に富んだ「チエもの」が必要

 衰退する一方の地方をいかにして活性化させるか。東京への一極集中が止まらぬ日本社会が抱える、長年の難題である。そして、これといった特効薬が見つからないのが実態である。それでも、昔から地域活性化を成功させるには3つの「もの」が必要だと言われてはきた。

 1つは「バカもの」だ。これは愚か者という意味ではなく、郷土愛に溢れ、地域づくりに猪突猛進する熱血漢を意味する。2つめに、そうした「バカもの」と一緒になって走る「ワカもの」もなくてはならない。心身ともに若く、フットワークよく動き回る実動部隊である。

 3つめが「ヨソもの」。客観的に地域を眺められ、しがらみに捉われずに発想できるからだ。外から情報を地域内に吹き込み、視野を広げる存在と言える。

 しかし、これら3つの「もの」だけでは不十分だ。地域活性化にはもう1つの重要な「もの」がなくてはならない。それは「チエもの」である。「チエもの」とは、単なる知識量ではなく、独創力と調整能力(連携力)に富んだ人を指す。自ら創意工夫を重ねて独自策を編み出し、利害を調整しながら課題を解決し、一歩ずつ地域を前進させていく。つまり、着想力と実行力を兼ね備えた人物である。

 こうした「チエもの」こそが今、最も日本社会に必要とされる存在で、かつ、一番欠乏しているものと言える。それでも皆無というわけではない。前々回と前回に続き、地域活性化で成果をあげている事例を紹介したい。

 卵かけご飯専用の醤油「おたまはん」は、誰もが知る人気商品となっている。「おたまはん」の登場により、卵かけご飯ブームが全国に広がり、いまなお続いている。そんな大ヒット商品を開発・販売しているのが、過疎地の小さな会社。島根県雲南市吉田町にある「株式会社吉田ふるさと村」である。

 大東町や掛合町、吉田村など5町1村が2004年に合併し、雲南市が生まれた。人口は現在(2013年6月末)、4万1817人。「株式会社吉田ふるさと村」は、合併前の旧吉田村が1985年に設立した第3セクターだ。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


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国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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