政府の女性登用目標に現実味はあるか?
バリ女への理解力が問われる男性社員

「指導的地位に占める女性の割合を、2020年までに30%程度とする政府目標の達成に向けて、全上場企業において積極的に役員・管理職に女性を登用していただきたいと思います。まずは、役員に1人は女性を登用していただきたい」

 安倍首相が4月に経済界との意見交換会でこう発言し、「女性管理職問題」が注目を集めている。自民党は参議院選挙でも「2020年までに30%」を公約として掲げ、「女性の活躍」の推進を明確に打ち出した。

 確かに日本は、女性の管理職比率が国際的に見ると低い。内閣府が発表した『2013年版 男女共同参画白書』によると日本は11.1%で、比較した12ヵ国のうち韓国の9.4%に次いで2番目に低い水準となっている。

 フィリピンは52.7%、アメリカは43.0%、フランスは38.7%であることを考えると、圧倒的に女性の登用が進んでいないことがうかがえる。女性の力を経済活性化に生かすためにも、積極的に推進していくべきだろう。

 しかし、一部からは「数値目標だけ1人歩きするのは、いかがなものか」「女性だけを優遇する政策なのではないか」「男性への逆差別だ」などの批判があるほか、そもそも管理職を希望しない女性が多いことも指摘され、実現可能性について懐疑的な意見も出ている。

 特に、女性の管理職に馴染みが薄い中高年層の男性は、心理的な抵抗感があるかもしれない。場合によっては、年下の女性が自分の上司になる可能性もある。そのとき、うまくコミュニケーションがとれるか。まさに「バリバリ女子」への対応力が試されることになる。

 そこで今回は『男女共同参画白書』などを参考にしながら、なぜ女性の管理職が必要なのか、なぜ企業で登用が進まないのかについて考えていきたい。