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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

貢献すべきは貢献したいことではない
貢献すべきことである

上田惇生
【第340回】 2013年7月22日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
2310円

 「自らの果たすべき貢献を考えることが、知識から行動への起点となる。問題は、何に貢献したいかではない。何に貢献せよと言われたかでもない。何に貢献すべきかである」(『明日を支配するもの』)

 ドラッカーは、このようなことが問題になるようになったこと自体が初めてのことだという。長いあいだ、貢献すべきことは、自分以外のなにかによって決められていた。自ら考えることや悩むことはなかった。農民は土地と季節で決められていた。職人は仕事で決められていた。家事使用人はご主人の意向で決められていた。

 ところが、知識労働者が仕事の主役となるや、彼らに何を貢献させるかが重大な問題になった。そこで、人事部が組織され、それを考えることになった。

 しかし、人事部全盛の時代は、驚くほど短かった。いかなる手法を開発しようとも、人事部なる世話役がやり切れることではないことが明らかになった。そこで早くも1960年代には、知識労働者の場合、何を貢献するかは自分で考えよということになった。好きなことをさせることが、最も進んだ方法とされた。

 もちろん、好きなことをさせてもらうことによって、成果を上げ、併せて自己実現したという者はそれほど多くはなかった。

 何を貢献するかを本人に考えさせることは正しかった。だが考えるべきは、何をしたいかではなかった。自らの貢献は何でなければならないか、だった。

 世界最強の大国・米国の大統領さえ、したいことではなく、しなければならないことをしなければならない。

 トルーマン大統領は、ルーズベルト大統領のあと、国内問題に取り組むつもりだった。しかし、ポツダム会議で旧ソ連のスターリンとやり合った後、戦後の問題は国際関係であることを痛感させられた。そして、大急ぎで外交に力を入れて戦後世界に平和をもたらした。

 これに対し、ジョンソン大統領は、ベトナム戦争を抱えつつ、国内問題から離れられなかった。

 「自らの果たすべき貢献は何かという問いに答えを出すためには、三つのことを考える必要がある。第一に、状況が求めるものである。第二に、価値ありとするものである。第三に、あげるべき成果である」(『明日を支配するもの』)

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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