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ジャーナリストキャンプ報告「震災後の福島に生きる」

震災から2年、生まれた「除染格差」
巨大行政区域・いわき市に切り捨てられた人々

小野美由紀
【第9回】 2013年7月22日
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「となりん村は田植え再開してんのに、なぜうちんとこは……」放射能被害が比較的軽く、早くから安全宣言を出していたいわき市。だが、震災から2年たった今も深刻な放射能被害に苦しむ地域がある。福島第一原発から約28キロにある、川前町の志田名地区と荻地区だ。「市に切り捨てられた」と住民自らが語る集落、志田名が苦しむ、近隣地区との「格差」とは――。(取材・文・写真/小野美由紀〈おの・みゆき〉)

車で10分なのに…。
行政区域で天国と地獄の差

 福島市から車で2時間。木々の生い茂る山間部に、みずみずしい緑の田畑が広がる。

 福島第一原発から28キロ地点にある双葉郡・川内村では、田畑の除染作業がほぼ完了し、作付けを再開している。6月の田植え時期、青々とした苗が一面に植えられ、除染土を詰めたフレコンバッグがところどころに置かれていることを除けば「日本の美しい田園風景」そのものといったところだ。

1~2年間作付けがされておらず、荒れ果てた志田名地区の耕地

 しかし、そこから車で10分。いわき市の志田名地区に入ると、風景は一変する。昔田畑だった土地は荒れ、雑草だらけ。先ほどの川内村とのギャップに嫌でも目が行く。

 ここ志田名・荻地区は、「安全宣言」を早くから出したいわき市唯一のホットスポットなのだ。志田名は33世帯、荻は12世帯が暮らす小さな集落であり、そのほとんどが農業で生計を立てていた。しかし、震災から2年経った今も、除染作業は完了せず、2013年5月26日の時点で、水田で3.03マイクロシーベルト/時、林道で2.30マイクロシーベルト/時と、震災直後と変わらない高い数値が出ている。

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 原発事故報道に埋もれた「フクシマ」のリアルに、百戦錬磨のジャーナリストたちが迫る。新聞協会賞受賞、朝日新聞「プロメテウスの罠」の依光隆明。「フクシマ論」で一気に注目を浴びた気鋭の社会学者・開沼博。地元東北を代表する地方紙、河北新報で気を吐く編集委員・寺島英弥。ネットの視点を持つ前ニコニコニュース編集長・亀松太郎。そしてデータジャーナリズムの第一人者・赤倉優蔵。5月、一斉に福島県いわき市に入り、グループを率いて競い合うように取材した彼らが、震災から二年を過ぎた被災地で見たものは。

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