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“微生物”が「世界の食料危機」を救う!?
化学肥料に頼らず、植物本来の力を伸ばす「土壌回復技術」とは?

――微生物を活かした農業技術を世界へ(株式会社泰雅)

見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]
【第8回】 2009年3月4日
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 先日、第81回アカデミー賞で「おくりびと」が外国語映画賞を、「つみきのいえ」が短編アニメーション賞を受賞しました。日本経済が先の見えない不況の中、日本の文化が世界で評価されたことは、日本人にとって歓びとともに、自信にも繋がったのではないでしょうか?

 特に「おくりびと」の根底に流れる日本的な文化、伝統、価値観は、我々日本人ですら忘れかけていた、大切な何かに気付かせてくれたような気がします。

 前回の記事でご紹介したとおり、日本は国土に占める森林の割合が68.9%という森林大国です。森林に恵まれているということは、水資源に恵まれ、また豊かな土壌にも恵まれている、ということにも繋がります。

 日本は農耕民族と言われていますが、それは偶然の産物ではなく、このような自然環境に恵まれていたという必然性にあらためて気付かされます。日本の文化は、そんな自然環境のもとで育まれたのだなぁなどということを考えつつ、今回は“土壌”にまつわるテーマを紹介したいと思います。

化学肥料に頼らず
植物本来がもつ“根力”を伸ばす

 皆さんは“連作障害”という言葉を聞いたことはありますか? 連作障害とは、「畑地で同一作物、またはトマト、ナス、じゃがいもなどのナス科作物のように分類学上近縁な作物を連続して作付けすると、作物の生育が悪くなり、収量が減少すること」をいいます。(恥ずかしながら、トマトとじゃがいもが、同じナス科とは知りませんでした。)この連作障害は、土壌病害が原因と言われています。

 土壌そのものを改良するには大きなコストと時間がかかるため、こうした症状が出始めた畑地(昔は忌地(いやち)と言われたそうです)では、収穫量を維持するために化学肥料や農薬の使用量が増えていきます。そして、その結果として更なる土壌の悪化につながる、という悪循環を引き起こしているのです。

 この連作障害の改善に効果のある「根圏の微生物の環境を改善する《土壌微生物環境改善剤》」、その名も「善玉菌太郎」を開発、販売している株式会社泰雅という会社があります。

 「根圏の微生物の・・・善玉菌太郎」と説明されても、何のことだかわかりませんよね。簡単に説明すると、作物の生育状況を良くするためには、植物本来がもつ“根力”が大きな要素となります。そして、この“根力”を強くするためには、植物の根のまわりに存在する“根圏微生物”が活性化され、植物の根を病原菌から守る作用がはたらく必要があります。

右が「善玉菌太郎」を使って栽培されたもの。
(C)株式会社泰雅

 「善玉菌太郎」はその“根圏微生物”が活躍できる環境を作ってあげる効果があるのです。これによって、畑地における化学肥料や農薬の使用を減らすことができ、土壌の悪化を構造的に防ぐことにもつながるのです。

“畑違い”の2人が、
畑地の土壌問題に取り組む

 この会社の村上真一社長は、もともとは航空会社で営業の仕事を20年間されていた方です。2000年頃、村上社長は、航空会社の新規事業部門の統括者として新たな観光地の開拓を進めていました。

 そんななか、中国のある省に行った時に水質汚染や畑からメタンガスが出ているという状況を目の当たりにし、大きな衝撃を受けます。「日本の食料庫といわれる中国で、大変な問題が起こっている」と危機感を感じた村上社長は、「何とかしなければ」と直感的に思ったそうです。

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見山謙一郎 [立教大学AIIC特任准教授/フィールド・デザイン・ネットワークス代表]

1967年生まれ、埼玉県出身。90年立教大学法学部を卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。05年立教大学大学院ビジネスデザイン研究科修了(MBA)。同年10月に三井住友銀行を退職し、Mr.Childrenの桜井和寿等が設立したNPOバンク(ap bank)に理事として参画。09年2月に株式会社フィールド・デザイン・ネットワークスを設立し、代表取締役に就任。企業や金融機関に対する戦略・企画コンサルティングを行う。専門は、循環型(環境)ビジネス、ソーシャルビジネス、BOPビジネス及びファイナンス。立教大学AIIC「立教グラミン・クリエイティブラボ」副所長。多摩大学経営情報学部非常勤講師。
☆ご意見・お問合わせはこちら  ☆Twitterアカウント:ken_miyama


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