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組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

師の恩に報いるため、退学寸前から優等生へ再生!
米国留学中の筆者を救った「認知」の驚くべき効力

――処方箋㉖他者のために頑張ることが「期待と認知」の連鎖を生む

渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第26回】 2013年7月31日
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「君の英語は全然わからないよ」
厳しい教授が言い放ったキツイ一言

 筆者が米国大学院に留学した、最初の授業でのことだ。そのコースは大学院1年生が必ず取らなくてはならない「コアコース」だった。その担当の先生はたまたま、学部で最も学生に厳しいと言われる教授だった。

 その先生の専門分野は私の志向していたものとは違っていたため、彼の講義についての予備知識はあまり持ち合わせていなかった。しかし、(米国の大学院ではどこでもそうだが)教授はそんなことはお構いなしに、膨大な量の専門書のリーディングを課し、徹底的なディスカッションと頻繁なレポート提出を要求する。

 できなければ、その学生には非常に厳しくあたるということでも、その教授は有名だった。昔、その教授の授業をとったある学生が、精神的に追い込まれて、カウンセリングまで受けたという話だった。

 当時米国に来たばかりで、友人もいず、英語も慣れていなかった私は、初回の授業で、その教授が話していることの半分も理解できなかった。専門書のリーディングも、当時の私のリーディングスピードでは追いつくことはできなかった。今の理解度を上げることができなければ、この授業の単位は取れないだろうと直感的に思った。

 「わからないところは質問しておこう」

 私は、授業に臨む前からそう決めていた。米国の授業では、学生からの質問には先生は丁寧に答えるし、学生もまた積極的に質問する。そういう文化に自分も早く慣れるためにも、怖がらずに質問するべきだ。そう考えていた。

 そのときに何を質問したのか、今では覚えていない。だた、その後の教授の返答だけは強烈に印象に残っている。

 「I don’t understand your English.」

 一言、冷たく突き放すように言われ、その後は沈黙しているままだった。

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渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」

職場で「不快感」を訴える社員が急増している。成果主義的な評価制度を導入する企業が増えたことにより、チームワークよりも自分の業績を重視する社員が増え、「ギスギス職場」が生まれているからだ。一方で、年功序列と終身雇用が崩壊しつつある職場では、職場の「世代間ギャップ」もかつてなく広がっている。こうした職場は結束やコミュニケーションを失い、社員の不快感は増していく。職場の不快感を取り除くには、制度的な「仕組み」を導入するだけでは不十分だ。部下1人1の「心」に効く、メンタル・マネジメントの方法論を上司が体系的に理解しておく必要がある。この連載では、日本の職場で起こりがちな「不快感」の臨床例を毎回わかりやすく紹介し、それを解決するメンタル・マネジメントの方法論を、社会心理学的な視点を織り交ぜながら、詳しく解説していく。

「組織の不調は社員を枯らす!職場の不快感に効く「メンタル・マネジメント」」

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