ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
森信茂樹の目覚めよ!納税者

混乱必至の消費税表示問題

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第55回】 2013年8月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

6月に成立した「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」(価格表示特別法)という長い名前の法律によって、2014年4月から17年3月末までの間の特例として、消費税額を含まない価格表示(税抜き表示、いわゆる外税方式)が認められる。8%、10%と短期間で2度も引き上がる消費税率の表示の手間を省くためである。しかし、税抜表示と総額表示の併存は、消費者を混乱させる可能性が高い。消費者は、どちらの表示を選ぶか、アンケート結果からも明らかだ。

「総額表示」だけでなく
「税抜表示」も可能に

 来年4月に予定されている消費税率の引き上げで、小売店やサービス業などの価格の表示は、これまで義務づけられていた消費税込みの価格表示(「総額表示」)だけでなく、「税抜表示」も認められることになった。

 2014年4月から17年3月末までの間の特例措置として設けられたもので、14年4月から8%、15年10月から10%と2度の消費税率変更で業者の値札の張り替えなどの手間をはぶくため、と説明されている。

 現在の、

 △△円(税込)、△△円(うち消費税□円)、△△円(税抜価格□円)

 から、

 ○○円(税抜価格)、 ○○円(本体価格)、 ○○円+税

 といった表示が店頭やチラシに並ぶこととなったのである。

 また、個々の値札では「○○円」と税抜価格のみを表示し,消費者の目に付きやすい場所に,「当店の価格は全て税抜価格となっています。」といった掲示を行うことも認められた。

 さっそくスーパーなどで作る「日本チェーンストア協会」は、「税抜表示」で統一したいという方針を加盟各社に伝えたと報道されている。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

「森信茂樹の目覚めよ!納税者」

⇒バックナンバー一覧