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野口悠紀雄が探る デジタル「超」けもの道

個人データベースのGREP検索による管理

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第12回】 2008年2月12日
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 「Gmailのログが最も安全で、最も探し出しやすいデータ格納場所」と認識してまず格納したのは、暗証番号である。以下では、それについて述べる前に、まずこの問題の背景について述べよう。

 私がこれまで行なってきた方法は、「メモをPC(パソコン)に保存し、GREP検索で探し出す」という方法だ。

 「GREP検索」については第10回簡単に述べたが、ここでもう少し詳しく説明しておこう。これは「広域検索」のことで、指定したフォルダ内のすべてのテキストファイルを一括検索する機能だ。「WZ Editor」や「秀丸」などのテキストエディタには搭載されている。

 通常のワープロにある「検索」機能の対象は現在開いている文書だけなので効果は限定的だが、GREP検索は指定したフォルダ(その気になればHD[ハードディスク]の全域)内のすべてのファイルを対象にできる。

 つまり、通常の検索がファイルを「中から」しか検索できないのに対して、GREP検索では「外から」検索できるのである。「どこにあるかわからない」ものを探す場合、両者は決定的な差をもたらす(そもそも「検索」とは「どこにあるかわからないもの」を探し当てることだから、この差は本質的である)。

 比喩的にいえば、つぎのようなことだ。通常のワープロの検索は、部屋に入ってその中を調べるようなものだ。だから、捜索のためには、その部屋に入らなければならない。入る部屋を決めるには、どの部屋に目的物があるかを知っていなければならない。それがわからない場合には、すべての部屋を一つずつ開けて調べなければならない。これには大変な手間がかかる。

 これに対して、GREP検索では、X線を当てるように複数の部屋を外から調べてしまうのである。だから、どの部屋にあるかがわからなくても、探し物ができる。したがって、これを巧みに活用すれば、魔法のようなことが可能となる。

 GREP検索を用いると、PCに保存してあるテキストファイルが、そのままで貴重なデータベースになる。「そのままで」とは、「検索語をあらかじめファイル名やファイル中に設定しておく必要がない」ということだ。「あらかじめ準備しておかなくともよい」のは、大変重要だ。将来必要になるであろうキーワードをあらかじめ過不足なく設定しておくことは、困難だからである。データを格納したときには意識していなかったことを、あとになって調べたくなることは多い。逆に、わざわざ検索語を指定しておいても、あとでまったく使わなかったりする。

 GREP機能を使ったことがない人がその威力を想像するのは、難しいだろう。だから、私がこの機能をなぜこのように強調するかを、不思議に思うかもしれない。しかし、一度でも使ってみれば、「検索」ということに関するイメージが根本から覆えるようなインパクトを感じるに違いない。

 私がワープロを使わずにテキストエディタを使っているのは、GREP検索を活用したいからなのである(編集機能がワープロより強力であるのも、大きな理由だが)。

 いや、それどころではない。 GREP検索を活用しなければ、そもそもPCで作業すること自体が、あまり大きな意味を持たないだろう。一覧性などの点では、紙のほうがはるかに優れているからだ。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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