社保庁によれば、ねんきん特別便で公的年金の加入記録に漏れがないかの確認を本人に求めたところ、「訂正なし」と回答した年金受給者の約8割で記録漏れが確認されたという。本人が確認するといっても、書面だけでの確認にはやはり限界があるのだろう。

 といっても、今回の話は年金ではない。

 あなたが保険期間2年以上の火災保険に加入しているなら「火災保険契約ご確認のお願い」というDMが届いているはず。よく見ずに回答すると、大変なことになるかもしれない。

 現在、火災保険をめぐり問題が起きている。この問題は契約者に大きな影響を及ぼすため、個々の契約に問題が起きていないかを、契約者自身にチェックさせるためにこのDMは送付されている。いわば火災保険版の“ねんきん特別便”というわけだ。

保険料取り過ぎ問題

 火災保険をめぐる問題とは何か。簡単に説明してみよう。

 3000万円の住宅を購入し、火災保険も3000万円に設定していた。ところが25年後に火災が起き、支払われた保険金は2300万円だった。

 なぜか。罹災時に支払われる保険金は、建物の現在価値までと決まっており、それ以上の保険金額はすべて“無効”。保険金額が3000万円だろうと、建物の価値である2300万円以上の保険金は一切支払われない。これが火災保険の基本ルールなのである。

高すぎる保険金額を設定してもムダである

 ほんとうにイザが起こったとき、受け取れると思っていた金額よりも、700万円少ない金額しか支払われない。たとえその分の保険料を負担していたとしても、である。そのため、この問題は「火災保険取り過ぎ問題」の一種である。

 大手損保6社の発表によれば、この問題以外も含めた保険料取り過ぎは、今月末までで220億円にのぼる見通しとなっている。そのため、DMや代理店によって、契約が適正であるかどうか、現在も全契約を調査中である。