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逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

其の48「論語」を読む。
人を育てるとはどういうことか

江上 剛 [作家]
【第48回】 2013年8月20日
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 今、文藝春秋の仕事で毎月、アジア各国を取材している。6月マレーシア、7月インドネシア、8月ベトナム。9月にはタイに行く予定だ。

日本企業は人を育てるのがヘタクソ

 実は、6年前にもそれらの国々を取材した。今回はその後の変化を知る意味もあるのだが、つくづく感じるのは日本企業は人を育てるのがヘタクソだということだ。

 アレ?と思う人もいるだろう。日本企業は、人は石垣、人は城と言われるほど人を大事にしてきたではないかと一般的に思われているからだ。しかし、実際、国内を見渡しても「追い出し部屋」や「ブラック企業」など人の問題にことかかない。

 追い出し部屋は、不要になった人材を窓際に追い詰め、神経を衰弱させるような話だし、ブラック企業は、若者を食いものにして過労自殺に追い詰めるような話で、両方とも人を大事にすると思われてきた日本企業のイメージを悪くする。

 人を育てるのがヘタクソだと言ったのは正にここにある。追い出し部屋の場合、その人が持っている技術が会社の方針に合わなくなったということのようだ。それって当然のことだろう。私は、新刊『断固として進め』(徳間書店)でフジフイルムの化粧品進出についての小説を書いているが、主人公に「技術は寿命があるが事業には寿命が無い」というセリフを言わせている。

 技術は、どんなに最先端でも寿命があるのだ。では最初から、そういうことを社員に教え込んでおけばいい。そして寿命を伸ばしたいなら自分で道を切り開くか、その技術しか習得できないなら、それで活きて行く道を考えろと言っておくべきなのだ。それなのに未来永劫面倒を見るような甘いことを言い続けるから、最後の最後で揉めるのではないか。

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江上 剛 [作家]

えがみ ごう/1954年1月7日兵庫県生まれ。本名小畠晴喜(こはた はるき)。77年3月早稲田大学政経学部卒業。同年4月旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。高田馬場、築地などの支店長を歴任後、2003年3月同行退行。1997年に起きた第一勧銀総会屋利益供与事件では、広報部次長として混乱収拾に尽力する。『呪縛 金融腐蝕列島』(高杉良作・角川書店)の小説やそれを原作とする映画のモデルとなる。2002年『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。以後、作家に専念するも10年7月日本振興銀行の社長に就任し、本邦初のペイオフを適用される。


逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―

作家・江上剛氏は、その人生で2回も当局による強制捜査を経験した。その逆境にあって、心を支えくれたのが、「聖書」「論語」「孫子」などの古典の言葉である。ビジネス界に身を置けば、さまざまな逆風にされされることも多い。どんな逆境にあっても、明るく前向きに生きる江上剛氏が、柔術ならぬ“剛術”で古典を読み解き、勇気と元気の“素”を贈る。

「逆境を吹っ飛ばす江上“剛術”―古典に学ぶ処世訓―」

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