「たぶん、課長はもう帰ってこないよ」「A君なら、おそらく気づいてくれるだろう」。このような会話を聞いたことはありませんか?さて本日は、こうした「推測でものを考えることの怖さ」を、事例とともにお伝えしていきます。

Xさんと課長のやりとり。
どこが問題?

Xさん 「課長、クライアントから連絡があって、明日の金曜までに見積書をメールで提出してほしいとのことです」
課長  「わかった。何時までに送ればいいのかな?」
Xさん 「来週の会議で使うと言っていたので、実際は週明けに確認するのでしょう。週末でも大丈夫だと思いますよ」

 一見すると何気ない会話ですが、この翌週、課長はクライアントからクレームを受けてしまいます。それはなぜでしょうか。

 先ほどのやりとりには客観的な事実と主観的な推測が交ざっています。クライアントが「金曜までに見積書を送ってほしい」と言ったことは事実です。しかし、それをXさんが「週明けに確認するのでしょう」と勝手に推測しています。

 実際には、クライアントの担当者は週末に出社して見積書の内容を整理しようと考えていたのです。

 結果として、日曜に出社した担当者はメールボックスのどこを探しても見積書を見つけられず、月曜朝に向けたとりまとめができなくなったため、その週の作業スケジュールが大きく遅延しました。