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インキュベーションの虚と実

“起業ありきで多産多死”の現状を打破する
異色メンター・小澤隆生のインキュベート法

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第34回】 2013年9月2日
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小澤氏が成長に深く関わった
nanapiとスターフェスティバル

 日本のスタートアップは、“起業ありき”で始まったケースが多い。つまり、「何をやるか」が固まり切っていないうちに、起業してしまうのだ。主に事業を特定してから、起業に踏み切る米国とは順序が異なる。

 それゆえに、日本では能力と才能に溢れる起業家が、的外れなテーマに取り組む愚を繰り返す。多産多死の元凶の一つだ。

 こうした失敗を減らす意味でも、筆者はメンターの存在が非常に重要だと考えている。今回紹介するのは、メンターの小澤隆生氏の事例だ。小澤氏は、「何をやるか」が決まり切っていない起業家へ事業のテーマやアイデア、ヒントを授け、起業家に実際に取り組ませ、成功させた実績を持つ。

 そのスタートアップとはnanapiスターフェスティバルだ。nanapiは7月にKDDI他から約2億7000万円、スターフェスティバルは8月に10億円の資金調達に成功。注目を浴びている。

 この2社が成長する上で重要な役割を果たした小澤氏は、1999年にビズシークを創業し、2年後に楽天に売却。それから楽天の役員としてオークション事業を担当の後、2005年楽天イーグルス取締役事業本部長として同球団設立の陣頭指揮をとった。

 07年に独立し小澤総合研究所 所長に就任、スタートアップ投資やコンサルティングを行う。12年よりベンチャー投資のYJキャピタルCOOに就任し、いまはヤフーの執行役員だ。

 いかにしてこの2社の事業が創られ、メンターと起業家がどう取り組んだかを見て行きたい。

小澤氏の「これつくって」の一言で
始まったハウツーサイト「nanapi」

nanapiの古川健介氏

nanapiの創業者は古川健介氏。日本最大級のハウツーサイトで、恋愛・結婚・育児のハウツーから料理レシピ、ウェブサービスの使い方まで、様々な生活の知恵が集まる情報サイトとして成長させ、いまでは月に6000万PV、1500万ユニークユーザーに達している。

 古川氏は、2006年にリクルートに入社するも、その当時から独立を考えていた。副業として07年末にロケットスタートを設立。しかし、事業の将来展望などは特に考えがある訳ではなかった。そんなときに、知人の紹介で小澤氏と会い、古川氏の運命は大きく変わる。

 出会って三度目、古川氏は小澤氏からこう言われた。

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本荘修二 [新事業コンサルタント]

多摩大学客員教授、早稲田大学学術博士(国際経営)。ボストン・コンサルティング・グループ、米CSC、CSK/セガ・グループ会長付、ジェネラルアトランティック日本代表を経て、現在は本荘事務所代表。500 Startups、NetService Ventures Groupほか日米企業のアドバイザーでもある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

「インキュベーションの虚と実」

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