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スマートフォンの理想と現実

マイクロソフトとノキアの“遅すぎた春”
その夢いっぱいの未来と、足もとに山積みの課題

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第49回】 2013年9月4日
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 米マイクロソフトは9月3日、フィンランドのノキアの携帯電話事業の買収を発表した。金額は54.4億ユーロ(約7140億円)。また買収完了後、ノキアのステファン・イーロップCEOがマイクロソフトに移籍することも、明らかになった。

 ノキアといえば、業界では言わずとしれた「巨人」である。日本でもかつて端末を発売していたし、現在でも新興国では相変わらずプレゼンスがある。しかし、スマートフォン時代が到来してから、端的にいって低迷の一途を辿っていた。

 両社は2011年に業務提携を結んだ(参考記事)。スマートフォンの端末開発に乗り遅れたノキアと、OSプラットフォーム競争で後塵を拝していたマイクロソフトが、タッグを組んだ格好だ。しかし、提携発表の当初から、両社は合併(というよりマイクロソフトがノキアを買収)するのではないか、と目されていた。

ノキアのスマートフォン「LUMIA」 Photo by Tatsuya Kurosaka

 なにしろノキアは苦戦続きだし、マイクロソフトもモバイル分野では鳴かず飛ばず。両社が送り出したスマートフォン「LUMIA」シリーズは、それ自体は手にとって触るとなかなか魅力的な端末なのだが、ここまでは期待ほどの成果は得られていない。またノキアが徐々に資産整理やリストラを進めるなか、「そろそろ潮時か」とも目されていた。

 今回の買収は、提携発表から1年半を経て、ようやく「結婚」が実現したという見方もできる。そこで今回は、この買収における両社の狙いと今後の可能性について、簡単にまとめておきたい。

狙いは何か

 買収の大きな狙いは、ずばり単純に、マイクロソフトのハードウェア部門の強化に尽きるだろう。特にスマートフォンに代表されるパーソナルガジェットの強化は、喫緊の課題でもあった。これを正しく取り込みたいというのが、同社の狙いであることは明白だ。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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