消費税増税に関し、8月26日から31日まで60人の有識者から「集中点検会合」として政府は意見を聞いた。7割超は消費税増税に賛成・積極的であった。一方、各種の世論調査では、消費税増税に反対・消極的な人が半数を超えている。

 本来であれば、消費税増税は総選挙のテーマとして国民の信を問わなければいけないテーマである。その代わりに有識者会議を設けて議論するというのだから、世論を代表する形で禍根を残さないようにしっかりした透明性の高い議論が必要だ。

事務方のお膳立ては度が過ぎた

 ちなみに、この点について、甘利経済財政・再生相は「なるべくバランス良く(賛成派と反対派の)人を入れようと相談したが、人選をしていくなかで反対派の対象者が少ないことは実感した」と述べ、増税賛成者に偏っていることを認めている。事務方が作ったメンバーについて、政治がチェックできなかった。この有識者の意見の偏りを見ても、結論ありきといわれてもしかたないだろう。

 有識者のメンバーでやや疑問であった人も含まれていた。浜田宏一・エール大学名誉教授と本田悦郎・静岡県立大学教授の内閣参与がメンバーであったことだ。彼らは経済政策の専門家として首相が判断する時にアドバイスをするのが仕事だ。彼らはアベノミクスを推進する立場から、消費税増税に消極的な立場である。その意見はすでに政府に届いているはずだが、それを一人の有識者の立場にして、再び政府が聞くというのは理解できない。実は、内閣参与としては、浜田氏らの他にも堺屋太一氏らがいて、彼らは消費税増税に賛成の立場だ。彼らは有識者会議のメンバーにはなっていない。

 いずれにしても、有識者会議の結論がメンバーの選定とともに簡単に予想がつくようではダメだ。各層から侃々諤々(かんかんがくがく)と意見が出て、結果として消費税増税・反対が同じウエイトの両論併記にして、「首相、ご裁断を」とすべきものだ。