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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

全体を理解する知覚的な認識が不可欠である

上田惇生
【第63回】 2008年5月30日
著者・コラム紹介バックナンバー
新しい現実
ダイヤモンド社刊
1700円(税別)

 「300年前デカルトは、『我思う。ゆえに我あり』と言った。今やわれわれは『我見る。ゆえに我あり』と言わなければならない」(『新しい現実』)

 デカルト以来、重点は分析に置かれてきた。ドラッカーは、これからは分析と知覚とのバランスが不可欠だという。

 すでに1890年代、形態心理学は、われわれが理解するのは「C」「A」「T」ではなく、「CAT」であることを明らかにしている。以来、心理学のほとんどの分野が、分析から知覚へと重点を移した。今日の心理学は、人間の心理過程、つまり衝動ではなく、人間そのものを理解しようとする。

 最近、企業や政府の計画立案において、シナリオの果たす役割が大きくなった。シナリオもまた、知覚的な認識である。

 生態系なるものは、すべて分析ではなく、知覚の対象である。全体として観察し理解しなければならない。部分の和が全体ではない。部分は全体との関係において存在するにすぎない。

 ドラッカーは、今日われわれの眼前にある新しい現実は、すべて形態的であって、それらの問題を扱うには、分析とともに知覚が不可欠だという。グローバル経済、途上国問題、地球的環境問題、組織社会、教育問題など、すべてが形態的な問題である。

 「今日の生物的な世界では、中心的な役割を果たすべきは知覚的な認識である。しかも知覚的な認識は、訓練し発達させることが可能である」(『新しい現実』)

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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