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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

オリンピックの「正義」を問う。
CSR視点で読み解く、その存在意義とは?

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第95回】 2013年9月17日
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 オリンピックの招致が決まり、世の中全体が盛り上がっている最中に、大きな違和感を与えるニュースが流れた。ご存じ、JOCによる便乗商法の禁止である。これによって、都内の百貨店やスーパーでは「オリンピック決定の記念セール」は一切開催できなかった。「オリンピック開催記念セール」はもちろん、「祝!東京」もダメ。「おめでとう東京セール」もNGである。

 メディアでこのニュースが流れたとき、多くの人は冷水をぶっかけられたような気分だっただろう。マスメディアはJOCに遠慮してか、表立った批判はあまり見られなかったが(特にテレビ)、ネットには批判記事があふれた。もちろん、JOCの言い分も分かる。「オリンピック」とか「東京五輪」という文言を使えるのは、協賛スポンサーだけにしたいというのは理解できる。しかし僕は、この理屈にはいくつかの点から無理があると考えている。

オリンピックの流れを変えた
ロサンゼルス五輪

 そもそも「オリンピックは誰のものか?」――という問題がある。1984年のロス五輪以降、オリンピックはどんどん商業化を進めていった。しかし、僕は商業化自体を批判する気はない。商業化したおかげで、存続の危機にあったオリンピックは復活し、大きく成長したからだ。1964年の東京五輪の感動もあり、日本人はオリンピックに多大な幻想を抱いてきたかもしれないが、かつてのオリンピックはそれほど世界的にメジャーなスポーツイベントではなかったといえる。

 その背景には政治的な影響も大きかった。1936年のベルリン五輪ではナチスドイツがオリンピックを政治的プロパガンダに利用し、その後の2大会は第二次世界大戦のため開催されなかった。さらにその後の1950年代のオリンピックは東西冷戦を象徴する場であったし、1972年のミュンヘン五輪ではイスラエル選手に対するテロ事件まで起きた。1980年のモスクワ五輪ではソ連のアフガニスタン侵攻を受け、西側諸国が大会をボイコットしたりもした。

 また、財政的な問題もあった。たしかに1970年代からオリンピックは世界的なイベントになっていったが、同時に膨大な運営経費がかかるようになり、その運営費すべてが自治体負担であったことから立候補都市が激減し、開催都市がなかなか決まらないという危機的状況を迎えていた。

 そのような状況下で決まったのがロス五輪。ロス五輪は当初から「民間資金のみで運営する」という方針が示され、大会組織委員長ピーター・ユベロスのもと、放映権や公式スポンサー等の新たなビジネスモデルを確立し、大きな成功を収めた。この民間資金を取り入れた運営方式は、その後、当時のサマランチ会長率いるIOC自身が受け継ぎ、現在の五輪ビジネスとして確立。商業化とともに、オリンピックは世界的なメジャーイベントに成長していったのだ。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

「社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭」

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