各地で「プロジェクションマッピング」のイベントが人気だが、そのほとんどは運営面の問題から1日から数日間の期間限定で開催されている。その中で、横浜みなとみらいドックヤードガーデンで7月16日から連日上映している「ドックヤード・プロジェクションマッピング」は、日本初の「常設公開」プロジェクションマッピングとして、9月1日までで延べ8万人の観客を集めている。このイベントを主催する三菱地所の原千晶氏、三菱地所ビルマネジメントの小室智郁夫氏に、開催の経緯を聞いた。

開港から現代までを8分間に凝縮した「YOKOHAMA ODYSSEY」の1コマ(写真提供:三菱地所)

 今年7月16日に横浜ランドマークタワーは開業20周年を迎えた。かつて造船所であった地域が「みなとみらい21地区」として再開発され、地上70階・296m、日本一の超高層ビルであるランドマークタワーがそびえ立った。現在も周辺の開発が粛々とすすんでいる。

 ランドマークタワーの周りには2つの「ドック」があった。1890年代に建造され、国内最古の石造りドックヤードとして使われてきた「横浜船渠(よこはませんきょ)」である。みなとみらい21の開発にともなって、第1号ドックは帆船日本丸を係留した「日本丸メモリアルパーク」となり、第2号ドック(ランドマークタワーの直下)はイベントスペース「ドックヤードガーデン」となった。

三菱地所横浜支店・総務課兼プロジェクト推進室の原千晶氏 Photo:DOL

 ランドマークタワー開業20周年イベントでは、みなとみらい21地区全体の活性化、特にドックヤードガーデンの地下にある飲食店街「みらい横丁」への集客が主目的として挙げられた。そこで選ばれたのが、ドック独特な船形の壁をスクリーンとして使う「プロジェクションマッピング」だった。

「みなとみらい21というと、昼間、ファミリーで行くイメージが強いんです。その中でドックヤードガーデンの地下1階、地下2階は『みらい横丁』というエリアになっていて、居酒屋、バー、カラオケなど大人向けのお店が並んでいます。そこにどうやってお客様を誘導し、夜の賑わいを味わっていただけるのかというのが大きな課題でした」(原氏)