ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
脅えるアメリカ社会 ボストンマラソン爆弾事件の衝撃

自転車泥棒にまでSWATが出動!?
警察の軍隊化で危惧される副作用

仲野博文 [ジャーナリスト]
【第5回】 2013年9月20日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage
重武装したSWAT隊員が閑静な住宅街を闊歩した Photo:Reuters/Aflo

ボストンマラソン爆弾事件では装甲車に乗ったSWAT隊員が町をパトロールする様子がニュースでも繰り返し伝えられた。特殊な事件のみに投入されるイメージが強かったSWATだが、現在は年間5万回も出動しており、アメリカが警察国家に変貌するのではという懸念も浮上している。

警察の「軍隊力」を見せつけた
ボストンマラソン爆弾事件 

 4月15日に発生したボストンマラソン爆弾事件。事件発生から4日後に容疑者の兄弟はボストン郊外の町ウォータータウンで警官隊と銃撃戦を展開。兄は死亡し、弟のジョハール容疑者は現場から逃走した。

 間もなくして、ウォータータウン周辺には重武装した警察官やFBI捜査官が集結。ウォータータウンを含むボストン周辺の町では住民に外出禁止令が出され、ゴーストタウンのような街中を装甲車に乗ったSWAT隊員が移動し、ジョハール容疑者を確保するためのローラー作戦が展開された。

 ジョハール容疑者を逮捕するまでの経緯は本連載でも第1回で詳しく解説したが、当時はその一部始終が世界中のニュースで紹介された。

 事件解決を最優先したため、事実上の戒厳令を敷き、武装警官が装甲車やヘリコプターに乗って街中を移動する姿に異論を唱える者は皆無だった。ただ、当時の警察の重武装ぶりは、通常では考えられないほどのもので、まるで住宅街が戦場となってしまっていた。

 実際、ボストンマラソン爆弾事件における警察の行動に疑問を唱える有識者も少なくない。

 元下院議員で、過去には大統領選挙にも立候補した経験を持つロン・ポール氏は4月29日、ウェブでボストンマラソン事件における警察の捜査方法について疑問を投げかけた。ポール氏は「ボストンマラソン爆弾事件によって、警察の仕事はこれまでの捜査活動から軍隊式の町の占領に変化し、政府がそういった活動を許可する口実もできた」と、警察国家へと変貌する危険性に対して警鐘を鳴らしている。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

仲野博文 [ジャーナリスト]

甲南大学卒業、米エマーソン大学でジャーナリズムの修士号を取得。ワシントンDCで日本の報道機関に勤務後、フリーに転身。2007年冬まで、日本のメディアに向けてアメリカの様々な情報を発信する。08年より東京を拠点にジャーナリストとしての活動を開始。アメリカや西ヨーロッパの軍事・犯罪・人種問題を得意とする。ツイッター:twitter.com/hirofuminakano

 


脅えるアメリカ社会 ボストンマラソン爆弾事件の衝撃

アメリカ社会は、長年にわたってテロと戦ってきた。1993年の世界貿易センター爆破事件、1995年のオクラホマ連邦政府ビル爆破事件、そして2001年の同時多発テロなど、幾度となく発生したテロに加え、学校や職場では銃乱射事件などが頻発し、この20年間、身の回りにある恐怖に脅え続けてきたと言っても過言ではない。そしてその恐怖をさらに強めたのが、アメリカでももっとも安全な街の一つだと言われたボストンで2013年4月15日に発生したボストンマラソン爆弾事件だった。この衝撃は再びアメリカ社会を大きく揺さぶることになるだろう。さまざまな政策に影響を与えそうだからだ。事件が与えた衝撃を、現地取材をもとにレポートする。

「脅えるアメリカ社会 ボストンマラソン爆弾事件の衝撃」

⇒バックナンバー一覧