しかし最近の研究で、高フルクトース・コーンシロップが、肥満や高血圧、糖尿病などの原因と分かり、大問題となっています。また、アメリカのみならず世界中に広がっている肥満と2型糖尿病の原因としても、欧米型の食事スタイルである高炭水化物食、特に糖質の過剰摂取が問題視されており、中でも最大の元凶として高フルクトース・コーンシロップ(主として清涼飲料水から)が問題視されています。最近の報告では、世界人口の8.3%が糖尿病に罹患しており、2030年には9.9%まで増加すると予想されています。糖尿病の増加率は先進国で20%、発展途上国ではなんと69%にのぼります。日本にとっても、けっして対岸の火事ではありません。
では、なぜ高フルクトース・コーンシロップは、肥満や糖尿病などの原因となるのでしょうか。それは、果糖とブドウ糖の違いにカギがあるのです。
果糖とは何か?
さて、果糖とぶどう糖は、何が異なるのでしょうか?
文字から連想されるイメージで「果糖は果物の糖で、ぶどう糖はグラニュー糖や上白糖のことです」と回答された方、残念ながら答えは「ノー」です。
天然甘味料を理解するために、まず糖の最小単位であるブドウ糖と果糖の違いを説明します(表参照)。
果物には果糖だけではなく、ぶどう糖、二糖類、多糖類なども含まれています。また、グラニュー糖や上白糖の主成分であるショ糖は、果糖とぶどう糖が結合した二糖類です。果糖とぶどう糖はどちらも単糖類ですが、私たちの体への働きは両者で大きく異なります。
ぶどう糖はごはんやパン、麺類、イモ類などに多く含まれ、脳の唯一のエネルギー源であり、全身の細胞を活性化するエネルギーとなります。果糖は果物や蜂蜜に含まれており、もともと甘みが強いのが特徴ですが、冷やすと甘みがさらに増します。果物を冷やして食べる習慣があるのはそのためなんですね。
実は、ぶどう糖と果糖は代謝経路が全く異なります。ブドウ糖は小腸から吸収された後、血液中に入り、全身の細胞に運ばれエネルギーとして利用され、余った分が中性脂肪となって貯蓄されます。一方の果糖は、ほとんどが肝臓で代謝されるため直接は血糖を上げませんが、肝臓で中性脂肪などに変換され、余分なものが脂肪として貯蓄される他、脂質異常症を引き起こしたりします。