本連載では、これまでなかなか指摘されてこなかったタブー的な論点にも、切り込んできた。今回は、そうした課題について、さらに切り込むために、気鋭のベンチャーキャピタリスト3名に集まっていただいた。毎日のように接している起業家に対して、また同業のベンチャーキャピタリストやアクセラレーター、メンターなどスタートアップ・エコシステムを構成する面々に対して、普段思っていても決して口にできない本音を語っていただいた。誤解のないようにあらかじめ言っておくが、あくまで登場の3名は、日本のスタートアップ・エコシステムが少しでも良いものになるためには、どうすればいいかを日々考えている人々だ。各々の発言は、そういった視点から発せられた言葉だと捉えていただきたい。自らの利益だけを考えていたり、ライバルを貶めるようなことを考えていたりするわけでは、決してない。

Aさん:事業会社系ベンチャーキャピタル
Bさん:金融機関系のベンチャーキャピタリスト
Cさん:国際派のベンチャーキャピタリスト

嫌いな人には投資しない
いっしょにやろうと思えるかが決め手

筆者 どのような起業家、スタートアップに投資するのか。どのように見極めている?

A 長い時間いっしょに仕事するわけでしょ。顔と声が嫌なやつには投資しない(笑)。そいつのために「何かやってやろう」と思える起業家に投資する。

B オーラが出ますよね、起業家それぞれ。

C 共同投資でも、この人(投資家)といっしょにできないなという場合は、やらない。

B たまに知識や実績がない、聞いた事もないようなベンチャーキャピタリストとがっちり組んでいる起業家がいる。でも、そういう名もない投資家しかカネを出してくれないということは、その会社はだめだということ。

筆者 「顧問です」とか言って、起業家に誰かついてくることがあるけど、経験ない? 

A もう、その瞬間にアウト(笑)。一生懸命プレゼンしてくるんだけど、「それ、だれが考えたんですか? 起業家のあなたが考えたプランですか?」って、疑って見ちゃう。顧問が経営するわけじゃないんだから。

B 「顧問です」を連れてくる起業家って、だいたい騙されている。騙される方も騙される方。でもびっくりするのは、そういう変な顧問がくっついている起業家に、絡みたい投資家がいるっていうこと。