9月24日、半導体製造装置メーカー世界首位の米アプライドマテリアルズ(以下、アプライド)と同3位の東京エレクトロン(以下、東京エレク)が、2014年後半をめどに経営統合を行うと発表した。経営統合が実現すれば、世界でも断トツの巨大な半導体製造装置メーカーが誕生する。このニュースに、業界内だけでなく、クライアントであるデバイス(半導体)メーカーにも激震が走った。「いま、なぜ」統合するのかについては疑問を投げかける声もある。
大株主のTBSはダンマリ
統合の狙いは相互補完的な製品群、技術力を持ち寄り、低コストで顧客に高いソリューションを提供することにあるという。半導体(ICチップ)製造工程は設計・前工程・後工程の3つに分かれるが、両社はシリコンウエハー上に回路を形成する前工程の製造装置を生産している。前工程は何段階にも分かれ、それぞれの工程に対応した製造装置があるが、両社は競合する製品が少なく、確かに補完的な製品構成になっている。しかも、それぞれの装置のシェアが高い。
しかしである。これだけの理由では、「いま、なぜ」統合かという点については、いまいち説得力に欠ける。両社は対等な経営統合であり、役員もそれぞれ5名ずつ同数を出すと強調するが、統合後の株式の所有比率はアプライドの株主が68%、東京エレクが32%となるからだ。
売上、純利益で見ても、東京エレクの4973億円、60億円(13年3月期)に対してアプライドは87億1900万ドル(約8700億円)、1億0900万ドル(約100億円、12年10月期)と、東京エレクを大きく上回る。海外でも、アプライドによる東京エレクの実質的な買収と報道されている。新会社の会長には、東京エレクの東哲郎会長兼社長が、CEOにはアプライドのゲイリー・ディカーソンCEOが就く。経営の主導権はアプライドに移っていくと見る方が自然だ。
そこまでして、経営統合に踏み切ったのはなぜか。一つには開発費が巨額化しているためと見る向きもある。現在、ICを作り込むシリコンウエハーの直径は300㎜で、次世代は450㎜の巨大ウエハーとなる。これに対応する装置の開発には、莫大な開発投資がかかると言われている。