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山崎元のマネー経済の歩き方

運用の素人理論・四つの罠

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第17回】 2008年1月29日
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 投資家にとって合理的な運用常識を説明する際に、理解してもらいにくいポイントが4つある。

 長期投資とリスクの関係、ドルコスト平均法の無効性、損切りの誤解、アクティブ運用の事前選択の困難だ。一般論として素人の直観が常に悪いわけではないのだが、知識的な意味での素人が直面する「バカの壁」的な障壁がある。

 投資結果の不確実性は時間とともに拡大するし、不確実性を負担するには超過リターンが必要だから、平均的にプラスのリターンを持っていて長期投資で元本割れの確率が下がることをもって、単純に「有利」とは言えない。

 ただし長期投資は有利ではないが不利でもないし、手数料コストの面では有利だが、長期投資に「絶対性」を求めたい信者さんはこの程度では満足しない。取るべきリスクの大きさが、投資期間ではなく、投資主体のリスク負担力で決まる点を理解してほしいのだが、「長期投資でリスクは縮小する」という誤った刷り込みが邪魔をする。

 ドルコスト平均法も過剰に信ずる人がいる。買い終わったリスク資産に有利不利はないので大きな実害はないが、買い方としてこれを選択すると、機会費用の損、過大な手数料、1資産への過剰な集中が起こりやすい。貯蓄法として積み立てが実行しやすいことと投資の合理性は別問題なのだが、自分の買値に対する不要なこだわりが理解を邪魔するようだ。

 買値に対するこだわりでは、一定率の値下がりには機械的な損切りが必要だという誤解も根強い。先日新聞に経済評論家とFP(ファイナンシャルプランナー)の記事広告の対談が載っていたのだが、この中で「金融リテラシー」の必要性を強調する経済評論家さんが、株式投資を勧めながら「損切りはポートフォリオの総額の2%を超えたら、無条件で売るべきです」と言っているのを見て、ひっくり返りそうになった。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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12社を渡り歩いた資産運用の現場に一貫して携わってきた視点から、「資産運用」の方法をどう考えるべきか懇切丁寧に説く。投資家にもわかりやすい投資の考え方を伝授。

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