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伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論

いまこそ日本企業は「肉食系」となれ!
求められるのは、民需に火をつける「第三の矢」

伊藤元重 [東京大学大学院経済学研究科教授]
【第30回】 2013年10月15日
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注目される三本目の矢

 アベノミクスはこれまでのところ、当初の想像以上にうまく機能している。株価や為替レートが金融政策に反応して大きく変化した。不動産価格にも影響が出始めている。

 実質GDPで見た経済成長率でも、今年に入ってからは年率換算した四半期の成長率が4.1%(1~3月期)、そして3.8%(4~6月期)と推移している。過去15年の平均成長率が1%に満たないことを考えれば大変な成長である。

 雇用にも着実な改善が見られる。失業率は3%台を伺うような状況だし、有効求人倍率も1に限りなく近くなってきた。数年前の有効求人倍率が0.5であったことを考えると、大変な雇用状況の改善である。こうした動きを受けて、物価や賃金にも少しずつ上昇の兆しが見えてきた。

 こうなってくると、人々の関心はますます「第三の矢」に向くことになる。財政金融政策はデフレ脱却のための重要な手段ではあるが、経済を持続的な成長経路に持っていくことはできない。あくまでも経済に対するカンフル剤である。経済が持続的に成長するためには、民間経済が自律的に成長しなくてはいけない。

 そこで内外の市場関係者が安倍内閣の成長戦略に注目している。安倍内閣は本当に効果のある成長戦略を実行できるのだろうか。それともこれまで何代もの内閣がそうだったように、経済には何も影響が及ばない新たな成長戦略を一つつくるだけなのだろうか。

 今年6月に安倍内閣が成長戦略を発表したときには、市場の反応は必ずしもよいものではなかった。特に3回に分けて発表した成長戦略の最後の回では、安倍総理が発表をした後、株価が低下する動きさえ見せたのだ。新聞は「成長戦略は力不足」とか「期待はずれ」と書いた。

 政府は、そうした反応もあってのことか、秋以降もさらに成長戦略を打ち出していくとした。また、これから始まる臨時国会は、成長戦略がその主要な議論の対象になるとも明言している。

サプライサイドかディマンドサイドか

 アベノミクスの第三の矢は単なる「成長戦略」ではない。「民間投資を喚起する成長戦略」である。この違いは重要だ。

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伊藤元重 [東京大学大学院経済学研究科教授]

いとう もとしげ/1951年静岡県生まれ。東京大学大学院経済学研究科教授。安倍政権の経済財政諮問会議議員。経済学博士。専門は国際経済学、ミクロ経済学。ビジネスの現場を歩き、生きた経済を理論的観点も踏まえて分析する「ウォーキング・エコノミスト」として知られる。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」コメンテーターなどメディアでも活躍中。著書に最新刊『日本経済を創造的に破壊せよ!』(ダイヤモンド社)等多数がある。


伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論

「アベノミクス」によって大きく動き始めた日本経済。いまだ期待が先行するなか、真に実体経済を回復するためになすべき「創造」と「破壊」とは? 安倍政権の経済財政諮問会議議員を務める著者が、日本経済の進むべき道を明快に説く! 

「伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論」

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