Photo:運輸安全委員会
9カ所、97カ所、267カ所、270カ所──。レール異常の箇所を発表するたびにその数が増えていったJR北海道。
97カ所のレール異常を発表した9月下旬には、外部の力を借りたとはいえ一晩で異常箇所すべてを修繕してしまった。「やればできるだけのマンパワーはあるってことでしょ」と、鉄道業界の関係者はため息をつく。裏を返せば、カネの問題ではなく慢性的なサボタージュがあったことをうかがわせる。
不祥事続きのJR北の病巣として指摘されているのが労働組合問題だ。ある鉄道関係者は、「組合のサボタージュの側面は否めないし、最大労組である道労組(総連系)の責任を排除することはできないだろう」と指摘する。
JR北の幹部は、「彼らのやる気のなさはひどい。いかに働かないかということにばかり腐心している」と口をそろえる。
JR北には四つの組合が存在する。組合員の8割強を占める第1組合のJR北海道労組(JR総連系)と、第2組合のJR北労組(JR連合系)、そして国労道本、建交労道本部だ。組合が違うと飲み会や結婚式にも呼ばないなど対立関係にあることが、日常業務のコミュニケーションにも支障を及ぼしていると指摘されている。
10月初旬、北労組ら第2、第3組合の幹部が、第1組合の道労組に「安全確保のため」に4労組の共同行動を呼びかけたものの拒否された。
北労組の幹部は、「なぜ道労組がわれわれの提案に同意しないのか理解できない。逆に彼らからは、われわれは信用のならない『組織破壊者』だと言われる。安全第一という常識に立てば、今回は“労労対立”を乗り越えるべき。労使間の話はその後だ」と憤る。