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被災者はどこに住むべきか~宮城県名取市閖上のいま

「800人犠牲の3つの原因」を徹底検証&報告へ
閖上検証委“情報源も極力開示”の方針は守られるか

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第8回】 2013年10月31日
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東日本大震災の津波によって、800人近い犠牲者を出した宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)地区。そのうち40人以上が、いまも行方不明のままだ。

震災当時、4000人ほどが在宅していたといわれる閖上地区で、なぜこれほど多くの犠牲者を出したのか。名取市は現在、第三者検証委員会を7月に設置して、検証作業を進めている。

その第1回委員会は、8月26日に開催。以来、犠牲者が集中した閖上公民館付近での避難の様子について、震災当日の状況を知っている住民を公募し、聞き取りを続けてきた。

10月31日の第2回委員会では、当日の災害対策本部や避難行動、鳴らなかった防災行政無線などについての検証作業の進捗状況が、公開で報告される。

検証の目的は「後世に教訓を残すこと」
第1回検証委員会で打ち出された方針

 閖上地区で多くの犠牲者を出す舞台となったのが、市の指定避難所だった「閖上公民館」だ。当日、公民館に避難してきた人たちは突然、別の指定避難所の「閖上中学校」に移動するよう誘導され、多くの人が移動途中に津波にのみこまれた。

 また、市の全域で、大津波を知らせる防災行政無線が鳴らなかった。さらに、名取市からの避難指示が「何もなかった」ことも住民の証言などで明らかになっている。

 第1回委員会では、事務局を委託された一般社団法人「減災・復興支援機構」の推薦により、委員長に東京経済大学コミュニケーション学部の吉井博明教授(災害情報)。副委員長には東北大学の澤谷邦男名誉教授(電気通信工学)が選ばれた。

 他には、東北大学災害科学国際研究所の越村俊一教授(津波工学)、関西学院大学の桜井誠一非常勤講師(防災行政、災害広報)、東北大学電気通信研究所の鈴木陽一教授(電気通信工学)、東洋大学社会学部メディアコミュニケーション学科の関谷直也准教授(災害情報)、兵庫県弁護士会の津久井進弁護士(災害法制度)、日本大学文理学部社会学科の中森広道教授(災害情報)、NPO防災士会みやぎ(日本防災士会 宮城県支部)の保田真理理事(市民防災)の計9人の委員で構成している(越村委員は、第1回委員会欠席)。

 検証の目的については、「教訓を後世に残し、今後の防災対策に役立てる」こととして、何が起きたのか、なぜそうなったのか、今後の対策の3つの視点で、「科学的・客観的に」行うことが確認された。

 これに対し、桜井委員から、「検証の目的の中に、住民の安心・安全という言葉が欲しい」という意見が出され、追加する方向で検討することになった。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


被災者はどこに住むべきか~宮城県名取市閖上のいま

東日本大震災の津波で700人以上が亡くなった宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区では今、どこに町を再建するかを巡り、住民と市長・行政の間で大きな隔たりが生まれている。この連載では、閖上地区を具体例としながら、震災から2年経った今だからこそ見えてきた被災地の直面する問題を明らかにする。 

「被災者はどこに住むべきか~宮城県名取市閖上のいま」

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