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国内で唯一、5面一体成形のガラスセル加工を実現 鬼塚硝子

森野 進 [経済ジャーナリスト]
【第9回】 2009年8月17日
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円筒の試験管が瞬時に立方体に!

 鬼塚硝子は産業用の精密ガラス加工とその応用製品のメーカーである。主力製品は血液検査用の分光分析用ガラスセル。自社製の加工機を使い、5面一体成形による精巧な製品に仕上げる。同製品の国内シェアは推定70%。ほかにガラス加工を基本に応用製品の製造も手がける。

 ガラス加工ではガスバーナーや真空成形機、研磨機などを使用して、きわめて精巧なガラス製品を作る技術を持つ。ガラス加工の主力製品は、病院などで血液検査に使用する分光分析用ガラスセル。1980年代後半から加工を手がけ、現在では同社売上高の約6割を占める。

 その製法は、まず円筒パイプ状のガラスを専用のバーナー装置で所定の長さに切断し、一方のパイプの断面をふさいで試験管の形状にする。次工程でガラス管に金属製の中型を入れ、真空成形機内で加熱して、内側四面、底一面の設定寸法に成形するというもの。円筒のガラスパイプが立方体に変身するのは、成形機の中で溶け出したガラスが立方体の中型に密着するためである。

 製法を話せば簡単そうだが、実際にはノウハウの塊だ。まず、機械を使用して、ガラスの切断と同時に片方の断面を素早く正確にふさぐことは、一般的なガラス加工会社ではとうてい不可能な芸当だ。仮にそれができたとしても、真空成形の際にガラスと中型が密着し過ぎると、中型が取り出せなくなったり、ガラスが割れたりする。「前工程をはじめ、中型の材質や形状(大きさ)、適切な温度管理など、すべての条件が揃って初めて可能になる」と同社では言う。

 成形したガラスは研磨工程で芯取り加工や外周研磨を行い、最終的にきわめて精巧な製品に仕上げる。

 5面一体の分光分析用ガラスセルが作れるのは、国内では同社だけ。ほとんどの医療機器メーカーにOEM(相手先ブランド製品製造)供給している。

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森野進 [経済ジャーナリスト]

日刊工業新聞社の記者、雑誌編集者を経て独立。中堅・中小企業の取材をライフワークとして活躍。著書に『女性発明家の着想に学ぶ』(発明協会)、『未公開ITベンチャーの躍動』(共著・オーム社)、『明日のものづくり』(共著・日経BP社)などがある。


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