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スマートフォンの理想と現実

アナログTV放送の“空き地”を活用する
「マルチメディア放送」は何処を目指すのか

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第54回】 2013年11月7日
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 「マルチメディア放送」という言葉を耳にする機会が、再び増えてきた。

 理由は大きく2つある。ひとつは、いわゆるV-Lowマルチメディア放送の開始が来年度に予定されており、その準備が進みつつあること。もう一つは、V-Lowに先行してスタートしたV-Highのサービス「NOTTV」の先行きが、ここにきて不透明になって来ているということだ。

 V-lowとV-highは、いずれもVHF帯と呼ばれる周波数帯で提供される、多機能の放送サービスである。同周波数帯はこれまでアナログテレビの放送で利用されていたが、2011年7月の完全地デジ移行にともなって、いわゆる「空き地」となった。ここを使って、新たなデジタル放送を進めようというのが、マルチメディア放送である。

 具体的には、V-lowは90~108MHz、V-highは170~222MHzが該当し、それぞれアナログテレビ放送では1~3chと4~12chの放送に使われていたものだ。総務省では、このVHF帯の空き地の活用方法をモバイル端末を対象とした新たなマルチメディア放送に決定。その意向を受けて、3年前にISDB-Tmm方式を採用した株式会社mmbiが認定された。そして2012年4月に、NOTTVという形でサービスが開始された。

映像サービスが「共食い状態」

 NOTTVは当初、初年度の加入者数の目標を100万人、最終的な加入者数は1000万人を目指すとしていた。しかし、実際にはサービス開始から1年目で約70万契約に止まり、100万契約への到達は2013年6月。現在は2013年9月末時点で約148万契約という状況で、勢いはいま一つである。

 月ごとの加入者数を見ると、年末商戦の2012年12月と春商戦の2013年4月に、それぞれ大きく数値が伸びていることになっている。これは、店頭においてNOTTV対応機種が大きくプッシュされたことで、加入者数が伸びたことによる。端的に言えば、新規購入や買い換え・乗り換えの契約時に、お試しキャンペーンなどを仕掛けたということだ。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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