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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

明日をつくるために
今日なすべきことがすでに起こった未来を探すこと

上田惇生
【第358回】 2013年11月6日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
1890円

 「社会的、経済的、文化的な出来事と、そのもたらす影響の間にはタイムラグがある。出生率の急増や急減は、20年後までは労働人口の大きさに影響をもたらさない。だが、変化はすでに起こった。戦争や飢饉や疫病でもないかぎり、結果は必ず出てくる」(ドラッカー名著集(6)『創造する経営者』)

 ドラッカーは、「すでに起こった未来は、体系的に見つけることができる」と言い、調べるべき領域は五つあるという。

 第1に調べるべき領域が、人口構造である。「人口の変化は、労働力、市場、社会、経済にとって最も基本となる動きである。すでに起こった人口の変化は逆転しない。しかも、その変化は速くその影響を現す」。

 こうしてドラッカーは、早くも1964年に、余暇市場の出現を指摘していた。

 第2が知識の領域である。企業は、その卓越性の基盤とすべき知識の領域においてこそ、違うものにならなければならないからである。影響がまだ現れていない知識の変化を見つけなければならない。

 第3の領域は、当然のことながら、他の産業、他の国、他の市場である。これらのものに目を配り、「われわれの産業、国、市場を変えることは起こっていないかを考えなければならない」。

 日本のある大手電機メーカーは、日本の農家はまだテレビは買えないと考えた。ところが、当時まだ中堅だったあるメーカーは、他の先進国では、豊かでもない農家がテレビを買っていることを知った。農家への販売キャンペーンは大成功した。

 第4の領域は産業構造の変化である。ドラッカーは、産業構造を見ていかなければならないと言う。同じく64年、ドラッカーは素材革命の発生を指摘した。そこから、多様な産業が大きく変化を始めた。

 第5の領域が、それぞれの組織の内部の変化である。そこにも、すでに起こった未来がある。基本的な大変化であって、まだ影響の現れていない事象を見つけることができる。

 「すでに起こった未来は機会である。潜在的な機会である。一つの傾向における変化ではなく、傾向の変化そのものである。パターンにおける変化ではなく、パターンそのものの断絶である」(『創造する経営者』)

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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