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「脳」がわかれば「なぜ?」がわかる!

会話でも買い物でも大活躍する「ワーキングメモリー」とは?

──役目を終えたら消えてしまう記憶

山元大輔 [監修] [東北大学大学院生命科学研究科教授/理学部生物学科教授]
【第15回】

人間は、脳あってこその存在。人の行動、思考、感情、性格にみられる違いの数々は、すべて脳が決めているのです。「心の個性」それはすなわち「脳の個性」。私たちが日常で何気なく行なっていることはもちろん、「なぜだろう?」と思っている行動の中にも「脳」が大きく絡んでいることがあります。「脳」を知ることは、あなたの中にある「なぜ?」を知ることにもなるのです。この連載では、脳のトリビアともいえる意外な脳の姿を紹介していきます。

コミュニケーションに
記憶は不可欠

 人が会話するとき、そのプロセスはどうなっているのでしょう。改めて考えてみましょう。

 AさんとBさんという2人の人間が会話し、そのテーマがフランス料理とイタリア料理ではどちらがおいしいかだとします。まずAさんが、料理は「フレンチが最高」だと話せば、BさんはAさんの話をいったん記憶し、「いや、やはりイタリアンのほうが美味だ」と主張します。そのとき、AさんもBさんの話を記憶し、イタリアンに優るフレンチのおいしさを語らなければなりません。

 こうしてAさんとBさんもまず相手の話をいったん記憶し、そのうえで自分の考えを主張します。相手の考えを理解しコミュニケーションをとるためには、まず記憶するという行為が不可欠なのです。しかも、ときにはかなり以前の記憶を呼び戻し、それをみずからの主張の根拠に追加しなければなりません。

 このように、状況に応じて短期的に記憶したり、会話のために記憶をいったんプールする、あるいは長期の記憶を自在に呼び戻し、その状況が終わると不要な記憶を消去したり、記憶のプールに戻したりする、そんなプロセスを「ワーキングメモリー」と呼んでいます。

「短期的な記憶」との
決定的な相違点

 会話以外にも、ワーキングメモリーは頻繁に使われています。たとえばコンビニで買い物をするときや、本をいくつか買うときなどです。財布の中身を思い出しながら、欲しいモノの値段を覚え、買えるかどうかの計算をします。

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山元大輔 [監修] [東北大学大学院生命科学研究科教授/理学部生物学科教授]

1954年東京都生まれ。東京農工大学農学部卒業後、同大学院農学研究科修士課程終了。理学博士(北海道大学)。ノースウエスタン大学医学部博士研究員、三菱化学生命科学研究所室長を経て、1999年から早稲田大学人間科学部教授。同大学理工学部教授を経て、現在、東北大学大学院生命科学研究科教授。同大学理学部生物学科教授。


「脳」がわかれば「なぜ?」がわかる!

人間は脳あってこその存在。行動、感情、性格の数々はすべて脳が決めています。「脳」を知ることは、あなたの中の「なぜ?」を知ること。当連載では、脳のトリビアともいえる、意外な脳の姿を紹介していきます。

「「脳」がわかれば「なぜ?」がわかる!」

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