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電機業界が群がる公的資金
看過できないこれだけの矛盾

週刊ダイヤモンド編集部
2009年4月27日
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改正産業活力再生法が成立し、4月中にも公的資金を用いた一般企業への資本注入が動き出す。破綻の危機に瀕しているパイオニアほか電機メーカーがこぞって手を挙げる模様だ。多くの矛盾を孕んだまま、税金が投入されようとしている。

 公的資金の活用を柱とする改正産業活力再生法(産活法)が成立した4月22日、朝刊各紙に「パイオニアに公的資金」の文字が躍った。その日、今年に入って一時100円を割り込んでいたパイオニアの株価は、322円で引けた。TOPIX(東証株価指数)が前日比で0.09%下がったにもかかわらず、約17%も跳ね上がったのである。

 パイオニアは2004年度以降、連結最終赤字に転落しており、08年度決算でも約1300億円の連結最終赤字を計上する見込みだ。第3四半期末の約1400億円の株主資本をほとんど食いつぶす計算になり、債務超過寸前である。

 破綻の危機に瀕する企業に税金をつぎ込むからには、大胆なリストラはもちろん、大幅な既存株式の希薄化や、借入金の大幅な債務株式化などによって、経営者、従業員、株主、銀行など債権者といった、既存のステークホルダーも痛みを負うのが常識だろう。

 たとえば、米ビッグスリーのゼネラル・モーターズとクライスラーに対する米国政府の支援には、全米自動車労働組合から、労働条件の改変に関する大幅譲歩を取り付けること、債権者から既存債務の3分の2を株式化するための同意を取り付けること、など厳しい条件が課せられている。しかも政府支援はあくまで、期限3年の「融資」(一部新株予約権付き)であり、「出資」ではない。

 だが、政府が一般企業への出資を行なう日本ではどうか。パイオニアの既存株主や銀行など債権者は、あたかも公的資金の利益を享受しているかのように見える。それでは「公的資金は企業版の定額給付金」(投資銀行幹部)である。

日産・三菱自動車
日本航空は融資を要請

 昨年12月、政府は公的資金による緊急融資制度として、日本政策投資銀行に年間1兆円(5000億円の追加が可能)の低利融資枠、年間2兆円のコマーシャルペーパー購入枠を設けた。今回の改正産活法成立によって、政府は資本支援に踏み込む手はずまで整えたことになる。30日にも公布、施行する予定で、すでに、DRAM(読み書きが自由な半導体記憶素子)専業のエルピーダメモリが申請する方針を固めている。

 また、日立製作所の川村隆会長兼社長は20日の会見で、「選択肢の一つ」と申請をにおわせた。半導体への過大投資が災いし、08年度に3500億円の連結最終赤字に転落、株主資本比率が8.2%まで落ち込むために5000億円規模の増資を計画している東芝も、申請に動く可能性がある。

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